映画『あんのこと』レビュー:ネタバレあり!コロナ禍がもたらす孤独の重み

公開前から映画ファンの間で注目されていた「あんのこと」が、一か月以上遅れて私が住む鹿児島でようやく公開された。

早速鑑賞。
評判通りの重い映画。
本作は事実に基づいている作品で、そこも重い。

その重たさのため、もう一度観たいとは思わないが、観たことを後悔させないタイプの作品。

以下、ネタバレあらすじ。

<ネタバレあらすじ>

覚せい剤を使用しつつ、売春をして生活している杏(河合優実)。
杏がホテルで売春をしていると、覚せい剤の影響で相手の男が倒れてしまう。

そのことで杏は警察に捕まるが、そこで多々羅刑事(佐藤二朗)と出会う。
多々羅は刑事の他に薬物中毒者を集めての更生グループを運営していた。

多々羅は杏を更生グループに入れるなど杏のサポートを始める。
その更生グループを桐野(稲垣吾郎)という記者がグループの活動の様子を取材していた。

一方、杏の自宅には年老いた祖母と売春で生活しているDVの母親がいた。

杏は母の暴力による強要により、12歳から売春を始め、16歳の頃から覚せい剤に手を出し、高校どころか中学も卒業しておらず、字もまともに書けなかった。

多々羅は杏から母親を切り離すべく、シェルターと呼ばれる更生用のアパートに杏を入れ、また、就職先も紹介した。

杏は就職した介護施設で働きながら、夜間学校に通い始める。
その中で徐々に杏は人間性を取り戻していく。

しかし、そこに新型コロナが日本を襲い、仕事にも学校にも行けなくなり、再び孤独になっていく。

しかも自分を助けてくれた多々羅は、グループの中の女性に性的な行為を強要していた。

実は記者の桐野はグループの活動ではなく、多々羅の裏の顔を暴くために取材していたのだった。
多々羅は桐野の記事により警察に逮捕される。

そんなときシェルターに住む見知らぬ女性が杏の部屋を訪ね、数日だけでいいので預かって欲しいと幼い子供を杏に押し付け、逃げ去ってしまう。

戸惑う杏であったが、警察にも通報せず、子供の世話を始める。
次第に杏はその幼児を我が子のように育て始め、生きがいとなっていく。

しかし、偶然に杏は杏の母親と街で出会い、母が戻ってきて欲しいと懇願すると、杏は仕方なく母の住む自宅に子供とともに戻る。

部屋にたどり着くと母親は豹変し、杏に体を売って金を稼いでくるまでは子供は返さないと言い出す。

杏は仕方なく売春をして金を稼ぎ、母のいる部屋に戻ると、子供がいなくなっていた。
寝ていた母に聞くと、泣きわめいてうるさいから役所に電話したら児童相談所が連れて行ったという。

生きる目的を失った杏は正気を失い、部屋に戻ると再び覚せい剤に手を出してしまう。
そして更生のために書いていた日記をコンロで焼き払い、アパートのベランダから身を投げて自殺してしまう。

杏の死を聞いた多々羅は獄中で号泣し、桐野は自分が記事を掲載しなければ杏は死ななかったかもしれないという思いに駆られる。

子供を杏に預けた母親が杏は子供の命の恩人であると警察に告げたところで映画は終わる。

<あらすじここまで>

杏を死に追い詰めた要因は「孤独」。
もちろん長年にわたって杏の心を痛めつけた母親が一番のワル。

しかし、直接的な原因は孤独。
その孤独を作り出した最大の要因は新型コロナへの社会の過剰反応と過剰自粛。

新型コロナが発生したのは令和2年。
ウィルスというのは感染するたびに弱毒化するといわれ、新型コロナも同様であったことは周知の事実。

つまり、令和2年の新型コロナが最も強毒であった。
ところが、令和2年の日本全体の死者数は令和元年より少なかった。

その後、ワクチンを打ち始めた時期に合わせて新型コロナ「以外」での死者数が急激に増え始め、遂に令和4年の死者数は戦後最大となり、令和5年の速報値では令和4年を超える数値となっている。

この原因は新型コロナワクチンが日本人が持つ全体の免疫力を低下させたと個人的には思っているが、科学的な根拠はない。

私は新型コロナワクチンを1回も打たなかったが、つくづく私の判断は正しかったと思っている。

新型コロナが流行り始めてから、平成20年以降連続低下していた自殺者数が増加に転じていることも見逃せない。

話を映画に戻すと、日本の異常で過剰な新型コロナ対策が孤独を産み、杏を自殺に追い込んだと言って間違いない。

本作は実話に基づいているらしいが、モデルとなった方も過剰なコロナ対策さえなければ死なずにすんだだろう。

人の心を蝕み続ける「孤独」。
人の心を傷つけるのは人間だが、癒すのも人間。

本作を鑑賞したほとんどの人が「救いようのない物語」と感じただろうし、私もそう思った。

しかし、唯一救いがあるとすれば、「人々に孤独を与えてはならない」という反省と決意を観客の心に抱かせたことだろう。

本作は公開規模も小さく、興行収入も低いが、間違いなく今年を代表する作品の一つであり、年末からのショーレースに絡んでくること間違いなし。

映画ファンなら必ず鑑賞しておくように。

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