映画『遺書、公開』ネタバレ感想!衝撃の結末と原作との違いとは?

映画「遺書、公開」を公開から二日目に鑑賞。

高校2年生の1学期の始業式の日にクラス全員あてにクラスの序列が書かれた文面がSNSに投稿される。

その半年後、序列で1位となっていた姫山椿が自殺。
葬儀の次の日、クラス全員に姫山からの遺書が届く。

その遺書をホームルームの時間を使って順番に公開していくことになる。
その中で徐々にクラスの真実が明らかになるとともに、姫山の自殺の原因も判明していく。

ビリング上は吉野北人(よしのほくと)、宮世琉弥(みやせりゅうび) 志田彩良(しださら)のトリプル主演となっている。(ただし、実際は吉野と志田のW主演。)
監督は英勉(はなぶさつとむ)。

陽東太郎(みなみとうたろう)の同名の漫画が原作。
脚本は鈴木おさむ。(お笑い芸人トリオ「森三中」の大島美幸の旦那。)

個人的な評価としては「B」。
人にお勧めできるほどではないが、中には面白いと感じる人もいるかもしれない。
といったところ。

あまりにもストーリーがノンリアルで、迫真性に欠けていて、映画の中に入っていけない。
ただ、その分、いくつかの登場人物の芝居の演出を思いっきり過剰にしていたところは、結構よかった。

一番印象に残ったのは谷地恵役の兼光ほのかの芝居。
谷地が死んだ姫山の両親の離婚を言いふらしたことを問い詰められるシーン。
あまりの過剰さに爆笑してしまった。

御門凛奈役の髙石あかりが、死んだ姫山の親友どころか、最初から姫山のことが大嫌いだったことを告白するシーンも最高。

その他、相畑詩帆役の日高真鈴もよかった。

この3人のシーンは、配信が始まったら、もう一度観てみたい。
ノンリアルな物語には、ノンリアルな芝居が合うのかもしれない。

ちなみに映画鑑賞後、原作漫画を読んでみた。
全9巻。

私は昨年から、原作がある映画は、なるべく原作小説・漫画を読むようにしているが、そのほとんどが大きく改変されていた。

しかし、「遺書、公開」にあっては意外にも原作に忠実な脚本となっていた。

もちろん、細かい部分で小さい省略や改変はあるが、少なくとも遺書の内容は同じだった。私の記憶の限りではあるが。

ただし、次の二つの点が若干違った。

① 姫山椿の憧れの人物
映画での姫山は「完璧なお姉ちゃん」に憧れて、「1位の人」を目指すわけだが、原作漫画では姉ではなく父親。

この改変は自然だと思う。
父親であると、性別も違うし、なにより「1位のお父さん」って意味が分からん。

② 廿日市くるみの過去
志田彩良が演じた廿日市くるみについて、原作漫画では幼少の頃、「1位の人」であったという設定になっている。

かつて廿日市は死んだ姫山と同じく「1位の人」として周囲から期待とプレッシャーをかけられるとともに、大変な役をやらされ続けた過去を持っており、それを避けるために目立たずに生きてきた。

そんなときに廿日市はネット上で姫山の日記を見つけ、「1位になれるのであれば、死んでもいい」という記述が許せずに、姫山を追い込むことを決める。

姫山の「1位の父親(映画では姉)」が自殺していたことを知っていた廿日市は、姫山を1位に仕立て上げれば、そのうちに自殺する可能性が高いことを分かっていたのだった。

映画でも原作でも廿日市の完全犯罪は達成するわけだが、映画では廿日市が単に人間観察好きのサイコというような設定で姫山を追い込むが、原作は廿日市の過去のトラウマが要因となっているところが若干違う。

いずれにしろ映画でも原作でも、ハッピーエンドで終わっていないところは好感が持てる。

個人的にはお勧めしないが、若手役者が多数出演しているので、そのあたりに価値を見出せる方はご鑑賞あれ。

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