クリント・イーストウッド監督最新作『陪審員2番』を町山智浩が語る!冤罪テーマの傑作を配信で鑑賞

ネット配信(U-NEXT)で映画「陪審員2番」を鑑賞。
クリント・イーストウッド監督作品。
巨匠イーストウッド監督作品にも関わらず、日本では上映されず、配信のみとなったことで話題の作品。

映画評論家である町山智浩がYoutubeで本作を紹介しているのだが、これがメチャクチャ面白い。
町山さんは非常に左派的な思想の持ち主で、友達になれそうにないが、映画評論家としては一流であることを認めざるを得ない。

町山さんの映画紹介は単なる内容紹介ではなく、映画を観ただけでは決して分からない出演者や、製作スタッフの情報を教えてくれる。
特にクリント・イーストウッド監督に対し、町山さんは作品が公開されるたびに直接インタビューしている。

町山さんによると、イーストウッド監督の撮影は「早い」ことで有名らしい。
何十回も撮り直しをする有名監督は多いが、イーストウッド監督は1、2回でOKを出すという。

これはイーストウッド監督が役者に強い演技を求めていないためで、そのことにより観客が各キャラクターの心情を能動的に読み取るようになることを意図している。
また、撮影時に最も時間のかかるライティングを、自然光若しくは照明を1灯で撮影するとのことで、これも撮影時間の短さに寄与している。

素晴らしい作品を作るクリント・イーストウッドであるが、低予算で、しかも短期間で撮影するため、巨匠であるにも関わらず、ハリウッドでは軽んじられている傾向があるらしい。
恐らくクリント・イーストウッドは、映画の面白さと予算に強い相関関係はないということをよく理解しているのだと思う。

今回鑑賞した「陪審員2番」は、タイトルどおり裁判もの。
刑事コロンボと同じく、倒叙形式となっている。

主役のジャスティンは陪審員として裁判に参加。
恋人と喧嘩して川に突き落としたとされる男が容疑者。

裁判で容疑を聞いたジャスティンは青ざめる。
犯行が行われた土砂降りの夜、ジャスティンは橋の上で鹿を轢いていた。

ところが、あの日、車で轢いたのは鹿ではなく容疑者の恋人だった。
心優しいジャスティンは容疑者を無罪にするため、他の陪審員を説得するも、そのうちに真犯人が自分であることがバレはじめてしまう。
ジレンマの中でジャスティンが参加する裁判は進んでいき、遂に評決が決まっていく…。

クリント・イーストウッド監督は、御年94歳の巨匠。
日本の巨匠監督といえば、黒澤明だったり、宮崎駿になるが、二人とも晩年の作品は作家性が強いアート系の作品となり、簡単にいうと訳の分からない映画ばかりだった。

一方、クリント・イーストウッド監督の作品は、全てウェルメイドに作ってあり、普段映画を観ない人でも面白く感じるエンターテイメント映画になっているから凄い。
「陪審員2番」も考えさせられる素晴らしい作品だった。

ちなみに町山さんは2024年のベスト1映画と言い切っていた。
「陪審員2番」は冤罪がテーマであったが、クリント・イーストウッド監督は、これまでも司法の間違った判断を取り扱った映画を複数作っている。
人間は度々間違った判断をする。

このことは民主主義は最高の政治形態ではないことを意味する。

民主主義はヒトラーを産み、ソクラテスを殺した。
民主主義というのは最高なのでは決してなく、妥協の産物である。

そんなことをクリント・イーストウッド監督は言いたいのかもしれない。
機会があれば、「陪審員2番」をご覧あれ。

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