映画『口に関するアンケート』ネタバレ感想・考察|原作(背筋)との違い・改変部分を徹底比較!
新作映画「口に関するアンケート」を鑑賞。
本作は背筋氏が書いた同名の小説を原作としている。
ある墓場の呪いの木にまつわる物語。
毎年、夏の時期に作られる学生向けのB級ホラー。
この手のB級ホラーは、たいてい評価は低いが、そこそこヒットする。
本作はB級なので傑作の部類には入らないが、合格点に達していると感じた。
学生が友達どうしで観るには丁度いい。
私は今回も原作小説を鑑賞前に読破。
といっても60ページの短編。
これは私の持論だが、映画の原作小説は短編の方がいい。
短編を原作とすると省略を最小にすることが可能となり、映像化に伴う改変や、脚本の追加がやりやすいと思う。
本作の改変は個人的には良かったと思う。
はっきりと幽霊(?)のビジュアルを見せてくれたところに好感が持てた。
本作の原作からの主な改変及び追加は次のとおり。
① オープニング
映画のオープニングに映画が終わった後にアンケートがあることが表示されるが、小説にはない。
本作は呪いの木の物語にも関わらず、どうしてタイトルが「口に関するアンケート」なのか小説では最後の最後まで分からないようにしている。
原作小説は短いので、オチをラストに持ってきても「効果的」とされるが、映画の場合、それなりの時間的な長さがある。
そこで製作側は最初にアンケートがあることを表示したのだろう。
この改変は個人的には仕方がないと感じたが、原作に思い入れがある人には受け入れがたい改変だったかと思う。
原作小説は読了後に「なるほど!」という感覚とともにタイトルの意味を理解する構造になっているが、映画版は冒頭にアンケートの件に触れてしまうので、この改変により小説の面白さが減退していることは確かだとは思う。
② 杏
映画版での杏は、後半で存在しなかった女性として描かれていくが、原作小説では、そのような設定はない。
また、映画版では木の傍にいた女が杏であるのか、そうでないのか曖昧にしていたが、原作では杏であったことが示されている。
杏が存在しなかったとすると、映画の前半にいた現代女子大学生の杏は幽霊だったことになってしまい、この改変は腑に落ちない人も多いかもしれない。
③ 堀田と川瀬
映画版の堀田と川瀬はチンピラと子分のような関係で描かれていたが、原作小説では普通の友達同士という設定になっている。
木の下で女を見たエピソードと女のビジュアルは原作通り。
しかし、原作小説では深夜のファミレスで警察に電話。
警察が調べると、呪いの木のところで首を吊った女を発見。
その後、堀田と川瀬はニュースで、その女が杏であることを知る。
つまり堀田と川瀬が木の下で見た女性は杏であった。
この部分を映画では曖昧にしているが、この改変は観ている人を上手く惑わしていて良かったと感じた。
④ 柄本時生と中村獅童
映画では柄本時生が演じた雑誌編集者と中村獅童が演じた刑事が出てきたが、原作にはない。
この二人のキャラクターにまつわる部分は完全に映画オリジナル。
この追加ストーリーが本作に貢献しているしているのかは不明。
ただし、柄本時生の顔は間違いなくホラー作品に向いている。
⑤ ラストシーン
映画ではアンケートの前に5人の男女が首つり自殺するところが描写される。
原作映画では5人が首を吊ったことを読者は最後の最後の最後に「アンケートで」知ることになる。
原作小説のアンケートは7問あり、7問目で「各人が独白後に首つり自殺したことをイメージしたか?」といった内容の質問をする。
そこで読者は、これまでの各人の一人称視点での語りが、どこで行われ、語り終えた後にどうなったかを知る。
つまり、最後の数行に小説のオチが待っていて、読後の満足度を上げている。
しかし、映画では何故かアンケートの前に首つりシーンを入れてしまっている。
やろうと思えば、映画も原作と同じようにできたと思うし、この改変は原作の面白さを損ねているとも思える。
ただし、私のように原作を読んでから鑑賞している人は少数。
原作がどうあれ、映画として面白ければ、それでよし。
当然、製作者側は原作を読んでいないことを前提に作っているだろうから、これはこれで良かったのかもしれない。
ただ、ここも原作ファンは許せないかもしれない。
オチの部分も含めて、全体として多くの改変があるものの、夏の学生向けB級ホラー映画としてはよくできているし、それなりにヒットすると思う。
私はホラー映画は好きなジャンルなので、是非、今後も夏のB級ホラーは継続して作って欲しい。