映画『ラストマイル』ネタバレ感想:キャラクターと展開に不満が残る理由(B-)
公開中の映画「ラストマイル」を鑑賞。
明らかにアマゾンをモデルとしたショッピングサイト「デイリーファースト」の巨大物流センターの荷物の中に12個の爆弾が仕掛けられるというサスペンス。
ちなみにラストマイルとは荷物を届ける過程の最後の区間のことを指すらしい。
主演は満島ひかり。
監督は長年テレビドラマの演出を手掛けてきた塚原あゆ子。
脚本は塚原監督が演出した「アンナチュラル」、「MIU404」の野木亜紀子。
「アンナチュラル」、「MIU404」のメンバーも出演するが、あくまでも脇役で本筋との直接の関係はなく、両ドラマを見ていなくても大丈夫な作品になっていた。
私が観た鹿児島のシネコンでは一番大きいスクリーンで上映され、朝一番の時間だったが、客もかなり入っていた。
今週末3日間の興行収入ランキングは間違いなく本作「ラストマイル」がトップ。
ただ、私は次の二つの理由から個人的には面白く感じられなかった。
<ここからネタバレ>
① 主役の船渡エレナのキャラクター
満島ひかりが演じる主役の船渡エレナのキャラクターに全く好感を持てなかった。
しゃべり方というか、しぐさというか、行動や態度が全く体質に合わない。
現実にこんな女性が近くにいたら絶対に嫌だ。
② 真犯人にたどり着くまでの時間
映画のラスト近くで、ようやく犯人が数年前に自殺を図った山崎佑(中村倫也)の恋人が犯人だったわけだが、実は船渡エレナは山崎の自殺も、山崎の恋人が会社を恨んでいることも知っていた。
そんな状況の中で爆弾事件が起きれば、船渡エレナの頭には当然犯人の候補として山崎の恋人が思い浮かぶはずである。
更に当然、物流センターの中の人間の中に犯人がいることは誰も想像するところなのだから、山崎の恋人の顔を知っている船渡エレナは雇っている荷物仕分けのアルバイトの顔を確認し、山崎の恋人の写真があれば、すぐに警察に通報するはずである。
正規の荷物と爆弾入りの荷物の取り換えのトリックも全然驚くべき方法でもないし。。。
更に途中で偽のCMを山崎佑名義で発注が行われていたことが判明したのだから、その時点で船渡エレナの頭の中では犯人が山崎の恋人であることを確信していたのではないか。
もし船渡エレナが犯人であるストーリーであれば問題ないし、山崎佑のデータを消去したのも説明がつく。
結局、船渡エレナは犯人ではなかったわけだが、そうなると山崎佑のデータの消去の意味もよく分からない・・・。(もちろん観客へのミスリードという意味はある。)
確かに船渡エレナはアメリカの女性の上司に山崎佑の自殺の件に関わらないように言われていたし、山崎の自殺が会社の責任であることがバレる可能性を消すためにデータを消したと言えるが、爆弾という重大さを考えると、そんなことは言っていられないはずだ。
良くわからん・・・。
やっぱりこの脚本おかしくないか。。。
この二つの理由に、もう一つ付け加えるとするならば、この映画のテーマの一つである「物流の現状」に興味が持てないところ。
確かにここ10年で、日本どころか世界中の人がネットで物を買うようになり、その分だけ物流の仕事量が急増し、そのしわ寄せがラストマイルを担うドライバーたちにきていることも分かる。
身近な問題ではあるが、自分の問題ではないし、答えとしては物流会社の「雇用形態の改善」しかない。
そういう意味で余韻はないが、「納得できない感」だけが私の心に残った・・・。
伏線と伏線の回収が上手いが、そこに大きな感動はない。
私の個人的な評価は「B-」。