「花嫁はどこへ?」をネタバレ全解説!インド映画の面白さ爆発!女性が輝く感動ストーリー
公開から一か月遅れで、ようやく私の住む鹿児島で公開されたインド映画「花嫁はどこへ?」を鑑賞。
さすが映画大国のインドで勝ち抜いてきた作品だけあって、メチャクチャ面白い。
個人的な評価としては「Aー」。
インド映画というと2022年に公開された「RRR」を思い出す人も多いだろう。
「RRR」はアクション映画だったが、「花嫁はどこへ?」はヒューマンドラマ。
インド版の松竹大船調映画(人情もの作品)といったところ。
運命のいたずらが幸せに変わる感動の物語。
舞台は2001年のインドの田舎町。
結婚式を終えた夫のディーパクと妻のプールが超満員の列車にのって夫の実家に向かう。
その列車にはプールと同じ赤い衣装を着た花嫁「ジャヤ」が乗っていた。
プールとジャヤは二人とも赤いベールで顔が見えないため、ディーパクは電車から降りるときに間違えてジャヤを降ろしてしまう。
電車に取り残されたプールは貴重品をディーパクに預けていたため、花嫁衣裳以外何も持っていない。
もう一人の花嫁であるジャヤは自分と夫の名前を偽り、謎の行動をとる。
二人の運命やいかに。
といった物語。
インド映画のイメージとしては「上映時間が長い(3時間)」、「ミュージカル」の二つが思い浮かぶが、本作の上映時間は130分で、ミュージカルシーンはない。
もちろんエログロはなく、インド映画特有のハッピーエンドで終わる。
ラストに近づくにつれ、感動の涙があふれる。
鑑賞後感は最高で、幸せな気分に包まれて映画館を出た。
ストーリーに新鮮味はないかもしれないが、実は脚本が素晴らしく、観客を映画の中に引き込んでいく力を持っている。
しかも単なるエンタメ映画ではなく、「女性の自立」をテーマにしている社会派の側面もある。
古い因習が残る農村で妻になること以外は教育されなかったプール。
そのプールが初めて自分の人生を切り開いていく。
そして自力で生きる少年チョトゥと、ひとり身で屋台を営む中年女性のマンジュとプールは出会い、働く喜びを知る。
一方、妙な行動を取るジャヤ。
そんなジャヤを結婚詐欺と疑って追跡するマノハル警部。
しかし、実はジャヤは詐欺師などではなく、単に結婚ではなく大学で農業を学ぶべく、進学の手続きをしていたのだった。
しかも、プールの居場所を探すべく、張り紙の作成と印刷までしていた。
ジャヤは逮捕され、持参金目当ての意地の悪い夫が迎えにくるが、真実を知ったマノハル警部は夫を追い払い、ジャヤを大学に向かわせる。
かなりノンリアルだが、警部の粋な計らいは観ていて気持ちいい。
そして二人の間違われた花嫁が、幸せになっていくところで映画が終わる。
神が仕掛けた奇跡の花嫁取り違え物語。
「満足度100%」は嘘じゃない。
どうやらインド映画には次の9つの表現を入れる暗黙のルールがあるらしい。
①恋情(ロマンス)
②憤激(リベンジ)
③勇武(アクション)
④憎悪(悪役・敵役)
⑤滑稽(コメディ)
⑥悲愴(悲劇)
⑦奇異(ミステリー)
⑧驚愕(スリル)
⑨平安(カタルシス)
本作「花嫁はどこへ?」にアクションはなかったが、その他は上手くストーリーに溶け込んでいたと思う。
一見、単純なお涙頂戴物語に見えて、観客を飽きさせず、映画内に引き込んでいくように上記のルールに基づいた表現をしている本作の脚本は凄い。
遠い国の映画ではあるものの、どこの国にもあるような女性蔑視があり、そのことを問題提起できるインドは未来に希望が持てる国ともいえる。
「インド映画」というだけで敬遠する人も多いと思うが、それはメチャクチャもったいない。
疑っている方は、世界中で大ヒットした「きっとうまくいく」をネット配信で鑑賞あれ。
「きっとうまくいく」は学歴社会への批判がテーマ。
もちろん恋あり、笑いあり。
ラストシーンで笑い泣きしながら、幸福感に包まれること間違いなし。
是非、今後もインドとインド映画に注目していきたい。