【ネタバレ】「人はなぜラブレターを書くのか」感想|テーマ優先で人を殺す映画に興ざめした話
今週から公開の映画「人はなぜラブレターを書くのか」を鑑賞。
監督は石井裕也。
配給は東宝。
キャストが豪華。
綾瀬はるか、妻夫木聡、菅田将暉、佐藤浩市、當真あみ。
東宝というメジャー会社が、確実に当てにきた感じの作品。
そのせいなのか、ストーリーに目新しさもなく、感動も薄い。
それでも中ヒットは狙えそうな感じ。
本作は事実に基づいており、2000年(平成12年)3月に発生した地下鉄日比谷線脱線事故で亡くなった男子高校生にまつわる物語。
この高校生「富久信介」は名門麻布高校に通いながらボクシングジムに通っていた。
ボクサーとしての将来が期待されつつも信介は事故で亡くなる。
信介と親しかったジムの先輩ボクサー川嶋勝重(菅田将暉)は、信介の思いを背負って世界チャンピオンになる。
一方、信介に恋するも、ラブレターを渡せずにいる女子高生「ナズナ」を當真あみが演じる。
ラブレターを渡す前に信介は死んでしまうも、20数年後、大人になったナズナ(綾瀬はるか)は、信介が通っていたボクシングジムに信介あての手紙を書くのだった。
ここまでのあらすじは本作のCM動画や、公式サイトで分かる。
そしてジムの先輩ボクサーである川嶋が世界チャンピオンになったことも含め、概ね事実に基づいているようだ。
ここからがネタバレ。
「映画では」ナズナは癌になって死んでいく。
癌にかかったことがナズナがラブレターを書いた理由の一つになっている。
本作の公式サイトにあるプロダクションノートを見ると、「手紙を書いた女性ともやりとりをさせていただいた。」とあるため、ナズナの死はフィクションのようだ。
このフィクション部分は調べなくても鑑賞中に、なんとなく分かる。
そのため、このナズナの死が作為的に感じられてしまい、かなり興ざめ。
本作のテーマでありタイトルにもなっている「人はなぜラブレターを書くのか」を成立させるための「装置」としてのナズナの死。
制作者側の意図も分からなくはないが、どうせなら、死ぬか死なないか分からない形で終わらす方がよかった。
また、テーマに寄せるためにナズナを死なすならば、信介あてだけではなく、現在の夫や娘に対してもラブレターを書くべきだったのではないか。
映画を感動的にさせるための一番“都合のいい設定”としての「不治の病」。
いい加減、日本映画会も「不治の病」禁止令を出すときがきたのではないだろうか。
冒頭書いたとおり、中ヒットはするだろうが、個人的には人に勧められない作品。
そもそも「人はなぜラブレターを書くのか」って問われても、ラブレターを書いたことのない人の方が多いだろ。
「ラブレター作成=多くの人が当然やる行為」みたいな前提は現実とズレていて、どうしても違和感が残る。
でも、もしかしたら「中ヒット」ではなくて、大ヒットするのかも。
こういう作品がヒットするのは個人的には嫌だなぁ・・・。