『Michael/マイケル』ネタバレレビュー|実話と違う?描かれなかった晩年と続編問題
映画「Michael/マイケル」を公開初日に鑑賞。
マイケル役はマイケルの兄であるジャーメイン・ジャクソンの息子「ジャファー・ジャクソン」が務めた。
本作は1988年までのマイケルの半生を描いている。
逆にいうと晩年のマイケルは描かれていない。
映画の前半、マイケルは超スパルタ音楽教育の父ジョセフの暴力に耐える。
その後、マイケルはスーパースターになるも、それでもなかなか父から離れられない。
しかし、遂にマイケルはジャクソン5からの離脱をコンサート中に宣言し、映画は終わっていく。
本作は家族を愛しつつも、勇気を出して父の呪縛から離脱するマイケルの物語となっている。
マイケルは純真無垢な青年で、父は金もうけばかり考えるヴィランとして物語が進んでいくというシンプルな構造となっている。
マイケルをよく知る人からすれば、かなり事実とは異なったストーリーであることは容易に想像がつく。
しかし、親の呪縛からの解放は、あらゆる人間とっての普遍的なテーマである。
そういう意味では、事実はどうあれ映画としては見応えのあるものだったと感じた。
しかもミュージックシーンは最高。
本物のマイケルに勝るとも劣らないジャファー・ジャクソンのパフォーマンスは、リピーターを増やすこと間違いなし。
ラストの「BAD」では、思わず「Who’s BAD!?」と叫びそうになってしまった。
マイケルファンでなくても一見の価値あり。
自信を持ってお勧めできる作品と言っていいだろう。
少し不思議なのが日本での配給がキノフィルムズであるところ。
これだけの作品を、どうして非メジャーのキノフィルムズが配給!?
通常であれば東宝東和。
まぁ、日本でも大ヒットすることは間違いないだろうが、キノフィルムズがいくらで権利を買ったのか知りたいところ。
誰か教えて。
<初めてのマイケル>
私が初めてマイケルを見たのは、恐らく1983年に公開された「スリラー」のPVだったと思う。
私だけでなく多くの日本人が「スリラー」を通してマイケル・ジャクソンを認識したのだろう。
当時の私は8歳。
7歳年上の兄がテレビ朝日の音楽番組「ベストヒットUSA」(司会:小林克也)で放送されたものを録画し、それを兄と一緒に見たのだと思う。
ご存じのとおり「スリラー」はホラーなPV。
それでも8歳の私は「怖い」よりも「凄い」の方が勝っていたと思う。
間違いなく、このPVにより「世界で最も売れたアルバム」となった。
<マイケル・ジャクソンの真実>
世界中の人々が二度目にマイケルに出会ったのは2003年に放映された「マイケル・ジャクソンの真実」というテレビ番組だろう。
私もそのうちの一人。
「マイケル・ジャクソンの真実」はイギリスのジャーナリストであるマーティン・バシールによるマイケル・ジャクソンのドキュメンタリー番組である。
マーティン・バシールは8か月もの間、マイケルに密着取材を行った。
日本でも放送され、瞬間最高視聴率27.8 %という高視聴率を記録。
もしかしたら「スリラー」のPVよりもインパクトのある番組だった。
超超超スーパースターのマイケルが変人だったことに世界中の人が驚いたわけだ。
番組の前半にマイケルの自宅「ネバーランド」が紹介される。
そこには遊園地、動物園があり、マイケルの異常なまでのピーターパンへのこだわりが分かる。
取材中、マイケルは「僕はピーターパンなんだ」と平然と言う。
これにマーティン・バシール記者は「でも、君はマイケル・ジャクソンだ」と返す。
このやりとりを日本語吹き替えでやるのだが、これが最高。
当時44歳のマイケル。
44歳からの「僕はピーターパン」。
狂ってる。
これを聞いた視聴者は、もうテレビに釘付けとなった。
番組の中盤、マーティン・バシール記者はマイケルの買い物に同行する。
道中、マーティン・バシール記者マイケルに自分の値段はいくらかと尋ねる。
これに対しマイケルは「10億ドル以上はある」と答える。
おいおいおいマイケルさんよ。
謙虚になれよ。。。
そしてマイケルは超高級美術品店に入り、大して見もせずに何千万円もするものを次々と買いまくる。
「それとそれとそれとそれ」
異常な浪費癖。
番組の後半、マーティン・バシール記者は顔の整形について、容赦なく質問をぶつける。
これに対してマイケルは鼻を数回いじっただけで、後は自然な成長だという。
自然な成長!?
それマジで言ってんの!?
その他、マイケルの少年への性的虐待疑惑にも斬り込んだりと、とんでもなくスリリングな内容になっている。
こんな取材を受けること自体、マイケルって変人・・・。
どうしてマイケルは狂ったのか。
もちろん父親ジョセフの暴力の影響も大きいだろう。
それよりもマイケルの異常なまでの才能が彼の人生を狂わせたのだと思う。
過ぎたるは猶及ばざるが如し。
世の天才は幸せにはなれないってこと。
凡人はもっと自分の才能のなさに感謝しなくてはならない。
<続編問題>
今回公開された「Michael/マイケル」は続編があるような話も耳にする。
しかし、「マイケル・ジャクソンの真実」を見た全員がこう思うだろう。
無理でしょ。
「マイケル・ジャクソンの真実」を見ていなくても、マイケルほどのスーパースターの人生は、既に詳らかになっているわけで、よほど知られていない真実がない限り、マイケルの家族とファンを傷つけるだけ。
マイケルの晩年を美しく描くことも可能だろうが、それはそれで大批判をくらうことは火を見るより明らか。
そういう意味で今回の「Michael/マイケル」は、我々にとって最後のマイケルなのだ。
マイケルのことは、これでもう終わりにしよう・・・。