【ネタバレ】『ミステリー・アリーナ』映画と原作の違い4選|これは改変か、改ざんか?
映画「ミステリー・アリーナ」を公開初日に鑑賞。
主演は唐沢寿明。
監督は堤幸彦。
ミステリー小説を提示して犯人を当てるというテレビ番組の物語。
私は同名の原作小説を読んでから映画を鑑賞。
文庫本で約450ページ程度あり、少し長めの小説となっている。
これまで私は原作小説を読んでから映画を鑑賞することを続けてきた。
その中で今回鑑賞した「ミステリー・アリーナ」が一番改変されていた。
もはや改変というより「改ざん」のレベル。
この脚本を原作者が許可したのが不思議。
同じだったのは、唐沢寿明が演じた番組の司会の樺山桃太郎のキャラクターくらい。
(ただし、小説では髪型がアフロであった記述はない。)
改変が多すぎて原作小説と映画の違いを全て挙げるのは無理であるが、大きな違いを4つほど紹介したい。
①思考映像化装置「デジャビュ」
映画では司会の樺山と解答者に思考を映像化できる「デジャビュ」なる装置を片耳に取り付ける。
そして、問題となるミステリーを樺山が読み上げることで映像化されていく。
原作小説では、このような装置はなく、テレビ画面に「ナレーションなし」で、テキストが表示され、解答者及びテレビの視聴者はリモコンで読む形になっている。
「ナレーションなし」というところがミソで、例えば「ヒデ」という登場人物が「英」と書かれる個所があり、実は「はなぶさ」と読ませて、別の人物であることを推理させたりする。
ここの改変は仕方がないと思う。
小説と同じく映画の観客にナレーションなしでテキストを読んでもらうわけにはいかない。
そこで「デジャビュ」なるウルトラC的な装置を映画版では取り入れたわけだ。
この装置がないと、原作小説は映像化できなかっただろう。
②解答者
映画の解答者は6人であって、そのうちの一人が内部告発を受けた刑事であった。
原作小説の解答者は14人もいて、問題文としてのミステリー小説の部分と解答するシーンが交互に14回描かれていく。
小説ではミステリー小説あるあるを使って、解答者が犯人を推理していくのだが、どの解答も想像力豊かで読んでいて楽しい。
恐らくここが、この小説がヒットした理由なのだろう。
なお、この14人の解答者の名前には全て漢数字があり、数字の若い順に解答していく。
(一ノ瀬、二谷、三澤、四日市、五所川原、六畝割(ろくせわり)、七尾、八反果、九鬼、十和田、十一月(しもつき)、十二月田(しわすだ)、十三(とみ)、十四日(とよか))
そして小説の最後に、この14人は警視庁の特殊法規捜査チームであったことが分かっていく。
しかし、映画版では芦田愛菜が演じた一子が、早々に解答済みエリアに移動し、内部の秘密が分かったり、アクションシーンが始まったりする。
エンタメ映画にするには仕方がないのだろうが、一子が解答したあたりから、小説の面白さが完全に失われていく。
また、当然、一子に憑りつく「サンゴ」なる幽霊は原作小説には出てこない。
③ミステリーの分岐
絶対に正解にならないように犯人を変更していくところは映画も原作小説も同じ。
ただし、犯人を変更するためミステリーを分岐させる方法が違う。
映画ではAIを使っていたが、小説では司会の樺山が1年をかけて、15通りの犯人の違う物語を作っていたという設定になっている。
小説での樺山は1年に1回、大晦日にしかテレビに出演せずに、残りの1年でミステリー小説を書く。
樺山の出演料は3億円なので、1年に1回の出演で十分だった。
④不正解者の取り扱い
映画では不正解者は殺され、新薬開発のために体液を吸い取られてしまう。
明らかに殺人が行われている。
原作小説でも不正解者は殺されるが、合法で、体液ではなく臓器を取られてしまう。
原作小説の世界では「臓器くじ法」なる法律が制定されている。
これは国が公平なくじで健康な人間を一定数選んで殺し、複数の人に臓器移植する。
つまり一人の命で複数の命が救われるわけである。
しかし、くじに当たった多くの人間が自殺してしまったため、「臓器くじチャレンジ法」を新たに制定。
「臓器くじチャレンジ法」により臓器くじの当選者になることを自ら立候補して高額の賞金にチャレンジすることが可能となった。
この制度を利用して認可をもらった番組が「ミステリー・アリーナ」となっている。
合法ではあるものの、それは番組が公正に運営されていることが前提。
絶対に正解にたどり着けないという内部告発を受けた警視庁の特殊チームが番組に解答者として潜入するのが原作小説。
映画での殺人は非合法。
次々の出演者が行方不明になっているのだから、内部告発がなくたって殺人が行われているのは分かるでしょ。。。
かなり強引とはいえ、映画も原作小説と同じく「臓器くじ法」の設定は取り入れた方が良かったと思う。
正直、映画も原作小説も傑作の部類には入らない。
ただ、原作小説は謎解きが連続して描かれるので、ミステリー好きの方には読んでみて欲しい。