「映画大好きポンポさん」あらすじと感想 幸福な瞬間とは何かを問う秀作アニメ! 誰でも熱い生き方ができる!
「映画大好きポンポさん」は2021年6月4日公開のアニメ。
杉谷庄吾が描いた同名の漫画が原作。
Story
敏腕映画プロデューサーのポンポネット。
ポンポネットは年齢不詳の若い女性(見た目は少女)。
通称ポンポさん。
そのポンポさんの会社で雑用係として働く主役のジーン。
ジーンは大した学歴でもなかったが、超がつくほど映画を愛し、映画監督になることが夢だった。
逆に映画以外には興味が持てず、友達もいない根暗な映画オタクがジーンであった。
ジーンは撮影現場で仕事をしながら、あらゆることをノートにに書き込んでいく。
ある日、偶然にジーンのノートを見たポンポさんは、新作映画のCM動画の編集をジーンに依頼する。根暗なジーンは依頼の大きさに驚愕するが引き受けることとなる。
CMは15秒であったが、編集作業に入ったジーンは異常な快感にひたりながら斬新なCMを作り上げる。
CMを見たポンポさんは、次回作の監督をジーンに依頼する。
更にヒロインにド素人のナタリーを起用。
恐れおののくジーンとナタリーだったが、自分たちの夢の実現のために撮影に挑んでいく。
どうにか撮影は終了し、最後の編集作業を行うジーン。
ポンポは2時間を超える映画が嫌いで、上映時間を90分にするようジーンに命じていた。
しかし、素晴らしいシーンばかりで、どこをカットするか悩みに悩むジーン。
最後には倒れてしまいジーンは入院してしまう。
それでもジーンは病院を抜け出し、編集作業を始める。
編集室に現れたポンポさんに対し、ジーンは泣きながら追加撮影を申し出る。
ポンポさんは渋々追加撮影を認めるも、試写会日が延期されたため、スポンサーがつかず、資金難に陥る。
そこにジーンの高校の同級生で、大手の銀行に勤めるアランが協力する。
アランは学生時代から何でも上手くこなしてきたが、本当に自分がやりたいことが分からず悩んでおり、会社を辞める決意を固めていた。
アランが辞職を申し出る直前にジーンの危機を知る。
アランはジーンに資金提供できるよう銀行の重役たちへのプレゼン資料を死に物狂いで作り始める。
普通のプレゼンでは当然認められない。
そこでアランはとんでもない方法で重役達の説得工作を始めるのだった。
人間の最も幸福な瞬間
人間が生きている上で最も幸福な瞬間とは何か。
それは「好きなことに没頭している瞬間」である。
好きなことに没頭している間、あらゆる雑事、ストレス、煩わしい人間関係から解放されるからだ。
本映画においても、ジーンは編集を始める前「世界で一番幸福なのは僕だ」とつぶやく。
誰でも没頭の快感を経験したことはあるだろう。
しかし、大人になるにつれ、そうした経験が少なくなるのは何故だろうか。
恐らくは歳をとるたびに「余計なもの」が次々に付加されていくからだ。
勉強、仕事、人付き合い、家族などなど。
自分の好きなことに没頭するような暇は無くなっていく。
自分のやりたいことをやろうと思ったら、今持っているものを捨てなくてはならない。
しかし、勉強も、仕事も、人付き合いも、家族も、どれも大事。
ジレンマである。
そう、それはジーンが編集で悩んだのと同じ。
しかし、ジーンは勇気をもってカットしていくのである。
deleteボタンを押しまくる。
その作業は本当に自分がやりたいことを見つける作業そのものであった。
たった一度の人生、自分がやりたいことをやって生きていくべきだ。
それは当たり前。
自分の夢をかなえるためには努力だけではなく「切り捨てる勇気」がセットなのだ!と観客に訴えかける本作品は秀作と呼んで間違いない。
観るべし。