『リアル・ペイン』ネタバレ感想|ジェシー・アイゼンバーグ監督作の深すぎるメッセージとは?

映画「リアル・ペイン」を公開から三日目に鑑賞。
主演はジェシー・アイゼンバーグ。
ジェシーは監督・脚本も担当。

女優のエマ・ストーンがプロデューサーを務めていることも見逃せない。
いとこ同士のデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)とベンジー(キーラン・カルキン)は、亡くなった最愛の祖母の遺言で、祖母が生まれたポーランドでの「ホロコーストツアー」に参加するという物語。

自由奔放なベンジーと生真面目で非社交的なデヴィッド。
感情の起伏の激しいベンジーにデヴィッドは日々辟易させられていたが、それでもどこか憧れていて、デヴィッドにとってベンジーはかけがえのない人であった。
そしてなにより、ベンジーは人の痛みを鋭く受け止める感性の持ち主で、強制収容所の見学の後は、バスの中で一人、大泣きするような男であった。

ツアーの最終日に二人は亡くなった祖母が生まれた家を訪ねる。
この凸凹コンビは、このツアーで更に友情を深め、飛行場で別れていく。
ただそれだけの物語。

本作の見どころは主演のジェシーではなくキーラン・カルキン。
キーランは本作でゴールデングローブ賞の助演男優賞を獲得。
米アカデミー賞の助演男優賞にもノミネートされている。

キーランは映画「ホームアローン」で一躍有名になったマコーレー・カルキンの弟。
兄のマコーレーは、すっかり落ちぶれてしまったが、キーランは兄を抜いての大活躍。

本作は米アカデミー賞の脚本賞にもノミネートされているので今回鑑賞してみた。

エンターテイメント性ゼロの純文学のような作品。
なかなか余白というか、解釈の幅が大きい映画。

何が言いたいのか分かりづらい映画ではあるが、それはタイトルの「リアル・ペイン」に隠されているのかもしれない。
デヴィッドはナチスのホロコーストによって虐殺されたユダヤ人のことを思い号泣する。

しかし、普通の人々は80年も前のことをリアルに感じるだろうか。
我々日本人だって、大戦中に原爆により亡くなった膨大な同胞のことを「リアル・ペイン」として感じているだろうか。
遠い過去のことだけでなく、今も各地で戦争や災害で苦しんでいる人々を自分事として捉えているだろうか。

そう考えていくと、この映画のメッセージが分かっていくのかもしれない。
こういった地味な映画がアカデミー賞に選ばれるところがアメリカという国の懐の深さ。

これはアメリカ人が日本人よりも倍以上映画を見ていることからきている。
映画を観る目が肥えているから「リアル・ペイン」のような超地味な作品でもノミネートされるのだろう。

普段映画を観ない人には、とても勧められるような作品ではないが、映画ファンであれば見逃せない一本だと思う。
興味がある方は、ご鑑賞あれ。

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