【ネタバレあり】映画『サユリ』感想:ホラーからヒューマンリベンジドラマへ、胸アツのラストに涙!

公開中の映画「サユリ」を鑑賞。
中古の一軒家に引っ越してきた家族が、その家に憑りついている怨念の怪物「サユリ」に殺されていく物語。

前半は定番ホラーだが、後半は人間の復讐劇。
ジャンルとしてはホラー映画だが、個人的な感覚からするとスポ根ラブコメヒューマンリベンジドラマといったところ。

特に後半、認知症だった婆さんの春枝が目覚め、孫の則雄を鍛え上げつつサユリに対峙していく姿は胸アツ。ほとんどアクション映画。

ラストはサユリの壮絶な過去と則雄の成長に感動の涙を流してしまった。

下らないノンリアルな映画なのに、鑑賞後感がメチャクチャいい。
人に勧めたくなる映画。

個人的な評価は「A-」。

監督はホラー映画で有名な白石晃士。
原作は 押切蓮介の同名漫画。

ビリング上の主役は南出凌嘉(みなみで りょうか)であるが、実質の主役は根岸季衣(ねぎし としえ)だった。

以下、粗々のあらすじ。

<ネタバレあらすじ>

5人家族の神木一家は念願のマイホームを中古で購入し、離れて暮らしていた父方の両親とともに引っ越す。

ところが、次々と家族全員が体調を崩していく。

次男で中学生の則雄(南出凌嘉)も、よく眠れていないらしく、学校ではあくびばかり。
そこに同級生の女生徒で霊感の強い住田奈緒(近藤華)が現れ、気を付けるよう則雄に助言する。

そんな中、父が心筋梗塞で突然死する。
続いて祖父が心不全で亡くなる。

ある夜、この家に憑りついている少女らしき亡霊により末っ子で小学生の俊が兄の則雄の目の前で3階から落下して死亡。

続いて則雄の前に姉の径子が現れ、則雄を襲うも最終的には包丁で自分の首を刺して自殺した。

母も自らコードで首を絞めて死ぬ。

そこに認知症だった祖母の春枝が覚醒した姿で現れ、泣き崩れる則雄に活を入れて、家族を殺した亡霊への復讐を宣言する。

認知症になる前の春枝は短気で、しかも太極拳の師範代であり、かつてヤクザ5人を撃退したことのある強者であった。

春枝は亡霊に勝つには生きた人間の生命力が大事であるとして、則雄に走り込み、筋トレをさせ、太極拳を教えた。

そして無理やりに飯をたらふく食わせ、睡眠も十分に取らせた。
則雄の肉体的・精神的成長にともない、亡霊も徐々に春枝と則雄に手を出せなくなる。

ある日、春枝は夢に出てきた夫の指示に従い、家の裏にある地面を掘り起こす。
そこには「九条小百合」と書かれた学生手帳のようなものが出てきて、更に小百合のものと思われる頭蓋骨まで発見された。

春枝は密かに探偵を使って小百合の両親と小百合の妹の居場所を突き止める。
春枝が小百合の両親のところに向かう日、則雄は家に一人となるも、小百合には負けないという意気込みで外泊もせずに家に残ることを決意。

しかし、その夜、小百合の能力に押され、気絶してしまう。
なんとか心配して助けにきた同級生の住田奈緒により目覚めるも、住田は小百合の世界に引きずり込まれて消滅してしまう。

そこに春枝が帰宅。
春枝が運転してきた車の中には縛られた小百合の両親と妹がいた。

実は小百合は幼少の頃、美しい少女であったが、あまりの美しさに小百合の父が小百合を犯してしまう。

小百合の母は夫が自分の娘を犯していることを知るが、何故か見て見ぬふり。

我慢の限界に達した小百合は自分の部屋に閉じこもり、菓子を食べまくって太りまくり、自分を醜い姿に変えていった。

小百合が16歳だったころ、母が部屋を出るよう促したことをきっかけに小百合が家族三人に襲い掛かるが、逆に殺されて小百合は家の庭に埋められてしまったのだった。

春枝と則雄は小百合の両親たちを家の中に入れ、春枝は小百合の家族をハンマーなどでいたぶる。

そのうちに小百合が現れ、自分の家族を殺す。
ただし、食事を与えてくれた母親だけは殺せずに両目を潰しただけに留まった。

小百合の攻撃は春枝と則雄に向かう。

しかし、則雄の住田を愛する気持ちにより、小百合の中に取り込まれていた住田を救出。
そして、則雄と春枝の太極拳のパワーにより、小百合は美しかった幼少の頃の姿になる。

そこに殺された神木家の人々の姿が現れ、小百合をあの世に連れていくのだった・・・。

<ネタバレここまで>

冒頭に書いたとおり、超絶くだらないのにラストは涙が止まらなかった。
今週公開の映画は「ラストマイル」が興行収入トップになることは間違いないが、人にお勧めするなら「サユリ」だ。

私は思わず鑑賞後に原作漫画も買ってしまった。
原作と映画とのストーリーの違いはわずかであるが、細かいところは多数ある。

とりあえず私が思いつく範囲で、違いを3つほどご紹介。

① 元気はつらつオマンコマンマン!

春枝が覚醒後、サユリに対峙する際に呪文のごとく叫んでいた「元気はつらつオマンコマンマン!」は原作には出てこない。
さすが「R15+」。
映画内で「オマンコ」という単語を聞くのは、これが最初で最後かもしれない。

ちなみに映画内で則雄が住田を助けるときに「住田とヤリたい!」というセリフもない。

② 小百合の父親のレイプ

映画では小百合の父親が小百合をレイプするところから悲劇が始まっているが、原作にはレイプされた設定はなく、小百合は単に引きこもりの困ったちゃん。

これにより小百合の家族に対する怨念と悲劇の大きさが観客に伝わり、素晴らしい改変だったと思う。

③ 小百合の家族のその後

映画では小百合の母親を残し、父親と妹は小百合に殺されるが、原作では三人とも生き残る。
この違いはどうでもいいところだが。

逆に映画と原作ともに出てきて印象的だった春枝のセリフが次の二つ。

「この世は理不尽・・・全ての不幸をまたいで生きていく事など到底不可能じゃ」

「内を良く 外も良く 命を濃く」

いいセリフだ。

この夏の最後に怖くて、笑えて、胸アツになるババア無双な映画「サユリ」を是非ご鑑賞あれ。

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