映画『サンセット・サンライズ』ネタバレあり!映画と原作小説の違いを徹底比較

映画「サンセット・サンライズ」を公開から二日目に鑑賞。

映画の舞台は新型コロナが最も流行した時期の宮城県の海沿いの小さな町。
町では増加する空き家に頭を悩ましているところ、役所の空き家対策を担当した百香が、先ず自分が過去に建てた空き家を貸しに出す。

するとリモートワークを始めた東京の会社に勤める晋作が借り受ける。
釣りバカの晋作は毎日が天国となるが、よそ者を嫌う地元の人々とのトラブルが始まっていく・・・。

主演は菅田将暉。
ヒロインに井上真央。

監督は岸善幸。
楡修平の同名の小説が原作。
脚本はクドカンこと宮藤官九郎。

<ここからネタバレ>

井上真央が演じた百香は、10年前の東日本大震災で夫と二人の子供を失った設定。
私は震災のあった2011年から6年間、被災地真っただ中の宮城で暮らしたこともあり、百香さんの苦しさが、他の観客よりもリアルに感じたかもしれない。

私は直前に原作小説を読んでから鑑賞。
大まかな流れは同じであるが、枝葉の部分はクドカン流に改変されていた。

特にラストが大きく違っていたが、原作も映画もどちらもいい感じ。
映画版の個人的な評価としては「B+」。

折角、原作小説を読んだので、映画版との主な違いをご紹介。

①西尾晋作(菅田将暉)が宮城に訪れるまで
映画版では前半のかなり早い段階で晋作は宮城へ訪れるが、原作では晋作が釣りバカであることと、会社がコロナの影響と会社の経費削減のためにリモートワークになっていく様子が描かれる。

また、映画では勝手に晋作が借りる家にあがりこんでいたが、原作小説では通常の手続きで借りていく。

②モモちゃんの幸せを祈る会
映画では竹原ピストルが演じた居酒屋のマスターである健介を中心とした4人のメンバーで構成する「モモちゃんの幸せを祈る会」が奮闘するが、小説では同会は一切登場しない。

また、小説版の健介は百香に好意を持っているが、映画版ほど百香に入れ込んでいる描写はない。

③空き家対策事業の発案経緯
映画版ではシンバル社の社長である大津(小日向文世)が、空き家対策事業を発案した形になっているが、原作小説では晋作が思いつき、また、飲み屋のマスターである健介が更なるアイデアを思いつく形になり、晋作が社長に相談することから事業が始まっていく。

また、小説版での大津社長は映画版ほど大柄な性格ではない。

④芋煮会
映画では後半に芋煮会が開催され、本作のクライマックスと言っていいシーンになっていくが、小説では芋煮会は行われない。

⑤プロポーズ
映画版では会話中に晋作が何気に「百香と結婚」と言ってしまい、それを切っ掛けにプロポーズをすることになり、一度は断られるが、小説版は全く違った形でプロポーズが行われる。

晋作が健介の店で飲んでいると、そこに仁美(池脇千鶴)が現れ、百香への告白を促し、そのまま晋作は百香の家に走っていき百香の義理の父親である章男(中村雅俊)の前でプロポーズして、二人は結婚する。(映画では事実婚の形で終わる。)

私の記憶の範疇ではあるが、主な違いは以上。
その他、パッと思いつく小さな違いは次のとおり。

  • 冒頭の遊漁船上でのカップル(カツラが取れてしまう)シーンは小説にはない。
  • 小説にはクマが出てくるシーンはない。
  • 晋作が東京に戻るシーンは小説にはない。
  • 換気扇の上にあった百香の元夫のタバコの吸い殻を百香が見つけて泣き出すシーンは小説にはない。
  • 小説にはセリフとして「サンセット・サンライズ」というシーンがある。(映画版はラストの歌の歌詞としてでてくるのみ。)

その他にも細かい違いがあるので、是非、映画版に感動した方は小説版も読むことをお勧めする。

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