「嗤う蟲」ネタバレ感想:スリラー映画としての評価と改変案をAIに聞いてみた

映画「嗤う蟲」を公開初日に鑑賞。
ホラー映画かと思って観に行ったら、スリラー映画だった。

確かに映画のキャッチコピーは「ヴィレッジ狂宴スリラー」となっているが、スリラーというよりはサスペンスに近いかも。

ホラーとスリラーの違いは超自然現象を扱っているかどうか。
つまり、幽霊だったり、呪いだったりが出てくればホラー。
「嗤う蟲」は超自然的なものは扱っていない作品。

また、「嗤う」と「笑う」の違いを調べてみると、「人を見下してあざけり笑う」だという。

主演は深川麻衣。
私は深川麻衣のアイドル時代の活動については全く知らないが、女優の深川麻衣は結構好き。
演技の上手い下手は分からないが、私と「波長が合う」という感じ。

監督は城定秀夫(じょうじょう ひでお)。
脚本は内藤瑛亮(ないとうえいすけ)と城定監督の共同。

深川麻衣は好きだが、本作ははっきり言って面白くなかった。
個人的な評価としては「Bー」。
スリラーと謳っているにも関わらず、全く怖くない。

笑えないコメディ映画と同じく、怖くないスリラー映画はスリラー映画ではない。

ネタバレあらすじは次のとおり。

山奥の村に引っ越した杏奈(深川麻衣)と輝道(若葉竜也)。
この若い夫婦を村人たちは歓迎するが、やたらと子供を作るように促す。

実際に杏奈と輝道の間に子供が生まれると、必要以上に村人たちは、その赤ん坊を可愛がる。

そのうちに輝道は自治会長の田久保(田口トモロヲ)の罠にはまり、村の秘密の作業を手伝わされる。

その秘密とは大麻づくりであった。
村では合法の大麻栽培と見せかけて、違法薬物を作り出し、暴力団に売りさばいていた。

大麻作りに嫌気が差した輝道は大麻づくりを休みたいと申し出る。
すると次の日から輝道たちは村人全員から執拗な嫌がらせを受けるようになる。

村の秘密を知った杏奈は子供を連れて逃げようとするが、村人たちに確保されてしまう。

逃げられなくなった杏奈であったが、こっそり違法薬物を作っていた倉庫に潜り込んで大麻を盗み、村で毎年行う手持ち花火の祭りの場に大麻をしかけ、村人は大麻の煙を吸って混乱させる。

その間に杏奈は赤ん坊と輝道を連れて車で逃げるのだった。

(あらすじここまで)

なんとなくひねりが足りない。
もう一ひねりあったら、面白くなったかも。

そこで上記のあらすじをChatGPTに読み込ませて、面白くするにはどうすればいいかと質問してみました。

ChatGPTが出した答えの一つは次のとおり。

【現状の問題点】
村の秘密が「違法薬物の製造」という点でありふれており、サスペンス性が薄い。

【改変案】
村にはもっと異様な文化や儀式を絡めることで、観客に不気味さを感じさせます。例えば、村人が赤ん坊を「神の器」として崇拝し、赤ん坊を通じて神の意志を受け取る儀式を行う、といった不気味な設定を追加。
大麻栽培も、その儀式に関連している(例えば、幻覚状態で神の啓示を受けるため)とすれば、設定に奥行きが出ます。

この改変もありきたりかもしれないが、なかなか合理的な改変だと思う。
ChatGPTは他にも多数の提案をしてくれて面白い。

例えば「杏奈が無事に逃げたと思わせて、実は彼女が大麻の作成に加担していたという事実が最後に明かされ、観客に衝撃を与える。」。

これもありがちだし、無理やり感があるが、上手く描ければ面白い終わり方ではあると思う。

これからの脚本は一度プロットを作ってみて、AIに改変案を出してもらうというのもありかもしれない。

これからも「この映画をもっと面白くするためには、どうすれば良かったか!?」をAIに君いてみることにしよう。

オマケになるが、私は観終わって横光利一の「蠅」という短編小説を思い出した。
横光利一は明治から昭和にかけて活躍した小説家。

「蠅」という作品は、人を乗せた馬車が山で崖下に落ちるが、馬の背に乗っていた小さな蠅は馬車が落ちた瞬間に悠々ゆうゆうと青空の中を飛んでいったところで終わる物語。

映画の中では何回も実際の昆虫が映し出されるシーンがあるが、「嗤う蟲」は村人ではなく、この小さい昆虫たちを指していているのかもしれない。

蟲たちはバカな人間たちを見下してあざけり笑っているという意味を込めて「嗤う蟲」というタイトルにしたのかもしれない。

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