2025年映画館鑑賞ベスト10|心を揺さぶられた傑作ランキング

令和7年に映画館で鑑賞した映画は98本。
今日はこの98本の中から俺的ベスト10を発表。

第10位:ビーキーパー

ビーキーパー

主演はジェイソン・ステイサム。
ジェイソン・ステイサムといえばアクション。

「痛快」という言葉がピッタリの作品。

ビーキーパー(BEEKEEPER)は養蜂家のこと。
ジェイソン・ステイサム演じるアダム・クレイは養蜂家。

ある日、クレイが借りている土地の地主の女性がネットの詐欺により、全財産を奪われてしまい、自殺してしまう。

その女性に恩を感じていたクレイは、詐欺集団への復讐を始める。
実はクレイは過去に国の秘密組織「ビーキーパー」に所属していた凄腕工作員であった。

詐欺集団組織は巨大であったが、いとも簡単に末端の事務所を壊滅に追い込むクレイ。
しかし、その巨大組織のトップは世界最高の権力者の関係者であった…。

とにかく「気持ちいい」。

とにかくストーリーのテンポも速く、初めから飛ばしてきて、映画の中に引きずり込んできて観客を最後まで楽しませてくれる。

ちなみに昨年、私が一番最初に鑑賞した映画は「ビーキーパー」。

なんと、ほぼ同じプロットで令和8年1月2日から、ジェイソン・ステイサム主演で「ワーキングマン」が公開される。

気分を最高に高めてくれるジェイソン・ステイサム映画は新年一発目としては最高の作品。
「ビーキーパー」を楽しめた方は、是非、「ワーキングマン」もご鑑賞あれ。

第9位:国宝

国宝

間違いなく今年を代表する映画と言っていい「国宝」。
上映時間が3時間と長いが、冒頭から映画の中に引きずり込まれるので、全く長さを感じさせない。

全編に渡って重厚で緊張感の溢れる映像が映し出され、3時間に渡って画面に釘付けになった。

冒頭から最後まで「ノーミス」といった感じ。
脚本、演出、芝居、美術、撮影、照明などなど、映画を構成するそれぞれ全てが、高いレベルで結実している。

鑑賞中、何度も心動かされて訳の分からん涙が溢れてくる。

年明けの賞レースでは、「国宝」が総なめしそうな予感。

本作はヤクザを父に持つ少年「立花喜久雄」が歌舞伎界で国宝になるまでを描く物語。

この立花喜久雄の少年時代を黒川想矢、青年期から老年期を吉沢亮が演じる。

喜久雄は女形として名を馳せていくが、黒川想矢も、吉沢亮も、中性的な美しい顔立ちで、役にぴったりであったと思う。

監督は李 相日(リ・サンイル / り そうじつ)。
新潟県出身の在日朝鮮人三世。

李監督は『フラガール』『悪人』『怒り』『流浪の月』などの名作を作ってきた。
「国宝」は吉田修一の同名の小説が原作。

映画なんて、クライマックスだったり、ハイライトと呼ばれるシーンが一つあれば十分なわけだが、「国宝」は何度も観たくなるような見どころが多数ある。

興行収入も邦画の実写映画の歴代一位となった。

まだ上映しているので、是非、映画館で鑑賞して、3時間たっぷり映画の世界の中に引きずり込まれて欲しい。

第8位:TOKYOタクシー

tokyoタクシー

監督は「男はつらいよ」の山田洋次監督。
主演は倍賞千恵子と木村拓哉のW主演。

子供の学費等により経済的困窮状態にある個人タクシー運転手「宇佐美浩二」を木村拓哉が演じる。

倍賞千恵子は宇佐美のタクシーに乗り込む老婆「高野すみれ」を担当。

すみれはタクシーに乗り、東京の柴又を離れて神奈川県の葉山にある高齢者施設に向かう。

その道中、すみれの壮絶な過去が明かされつつ、すみれと浩二の間に絆が生まれていく。

たった数時間で絆など生まれようもないはずだが、この物語はそこに不自然さを感じさせないから凄い。

本作は2023年に日本で公開されたフランス映画「パリタクシー」の日本版リメイク。

今回鑑賞した「TOKYOタクシー」は、「パリタクシー」から全くといっていいほど改変されていない。

観ていて山田監督の「パリタクシー」へのリスペクトが強く感じられた。

恐らく山田監督はオリジナリティよりも、このストーリーの素晴らしさを、より多くの人に知ってもらいたいと思って作ったに違いない。

私も山田監督と気持ちは同じ。

「TOKYOタクシー」でも「パリタクシー」でも、どちらでも構わないので、より多くの人に本作を観てもらいたい。

第7位:でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男

でっちあげ

フリージャーナリストの福田ますみが書いたノンフィクション「でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相―(新潮文庫)」が原作。

つまり映画は平成15年に実際に起きた事件をモチーフにしている。

概要は次のとおり。

ある小学校の男性教諭が特定の男子生徒に対し、人種差別に基づくいじめ・体罰を行ったとして新聞報道される。

当該教師は六か月の停職に追い込まれ、遂には生徒の両親に訴えられる。

しかし、裁判が進むに連れて、事件は、いじめられたとする児童の両親により、「でっちあげ」られたものであることが判明していく。

そして、先生の無実の証明には10年もかかってしまうのだった…。

監督は三池崇史。

いい意味で三池監督らしくなくて、大変素晴らしい仕上がりになっていたと思う。

正に「事実は小説より奇なり」な話で、超胸クソ悪い事件。
事実だというのが驚愕。

映画は社会派サスペンスであるが、ホラーに近いかもしれない。

映画を面白いと感じた方は、是非、原作本も読んで欲しい。

第6位:大きな玉ねぎの下で

大きな玉ねぎの下で

本作は昼はカフェ、夜はバーになるという店で別々に働いていた男女が、昼と夜の連絡ノートを通じて恋に落ちていく物語。

本作は1989年(平成元年)にリリースされた爆風スランプ15枚目の同名のシングル曲(正確には「大きな玉ねぎの下で〜はるかなる想い」)にインスパイアされて作られた作品。

大ヒットソングにも関わらず、意外に分かっていない人が多い人が多いようなのだが、「大きな玉ねぎ」というのは、日本武道館の屋根の上に設置されている黄金の擬宝珠(ぎぼし)を指している。

爆風スランプの曲は武道館でのコンサートに誘った相手が現れないという失恋ソングだが、映画は失恋の物語ではない。

観客は「曲のとおりにならないでくれ!」と自然と切なく苦しくなる。
是非、多くの方に「大きな玉ねぎの下で」を鑑賞いただきたい。

第5位:今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は

今日の空が

監督・脚本は大九明子(おおくあきこ)。
お笑いコンビ「ジャルジャル」の福徳秀介が書いた同名の小説が原作。

本作のポスター・チラシの写真を見ると、若者のラブストーリーを予想させる。

ラブストーリーはラブストーリーなのだが、実際は誰もが避けられない愛する人との死別の苦しみがメインテーマ。

私は原作小説を読んでから映画を鑑賞した。

本作の見どころは、小説でも映画でも、小西徹、桜田花、さっちゃんの3人の「長セリフ」。

特に原作小説を先に読んでしまった私にとって、伊東蒼が演じる「さっちゃん」の小西への告白は涙腺崩壊だった。

広告にあるコピーに「生きる痛みを知ったとき、本当の恋が始まる。」とあるが、映画の内容からすると「生きる痛みを知ったとき、人は大人になっていく。」の方が正解かも。

小説も映画も、後半は涙が止まらないほどの切ない物語となっている。

映画で感動した方は、是非、小説版も読んで欲しい。

第4位:旅と日々

旅と日々

本作は、「ケイコ目を澄ませて」、「夜明けのすべて」の三宅昌が監督。

元々、三宅監督はエンタメを撮る人ではないのだが、「旅と日々」は、これまでの作品よりも更に地味。

日本で活動する脚本家の「李(イ)」(シム・ウンギョン)が主人公。
李は脚本作成に行き詰まり、東北へ一人旅にでかける。

無計画のまま出発したため、現地でホテル探し。
どこのホテルも満室。

仕方なく李は町はずれにある宿を訪ね、ものぐさな主人「べん造」が営むボロ古民家宿に泊まることになる。

ある夜、べん造は李に「錦鯉を見に行こう」と誘い、雪深い道を歩きだすのだった・・・。

前半は李の脚本家活動が淡々と描かれるのだが、李が旅を始めて「べん造」が出てくると、俄然、物語が面白くなっていく。

特に「べん造」を演じた堤真一の東北弁がメチャクチャいい。
リアル。

「東北なまり」というと、「いい人」というイメージがあるが、「べん造」は愛すべきダメ人間。

私の中での最優秀男優賞は堤真一。
「旅と日々」は、「べん造」を観る映画だといっていい。

ネット配信が始まったら、もう一度「べん造」を観ることにしよう。
三宅監督には「べん造」を主人公にした続編をつくってもらいたい。
無理だろうけど。

第3位:サブスタンス

サブスタンス

デミ・ムーア主演。

デミ・ムーアといえば1990年に公開の「ゴースト/ニューヨークの幻」。
あの可愛かったデミ・ムーアも、今年で62歳。

デミ・ムーアの代表作「ゴースト/ニューヨークの幻」くらいしかなく、あまり演技派というような印象はない。

しかし、今回のデミ・ムーアは凄い。
年老いた自分の醜さを実に見事にさらけ出している。

主人公は元人気スターのエリザベス・スパークル。
エリザベスはエアロビの番組に出演していたが、年齢を理由に降ろされてしまう。

屈辱的な思いの中、エリザベスは「サブスタンス」という違法薬物に手を出してしまう。

一時的に若さを取り戻すエリザベスであったが、遂に彼女の体は朽ち果てていくのだった・・・。

基本的にはホラーなのだが、私はブラックコメディだと思う。

年老いていく悔しさと、異常なまでに他者からの賞賛を求めるエリザベスをデミ・ムーアは見事に、そして体当たりで演じていたと思う。

デミ・ムーアは前回の米アカデミー賞で主演女優賞にノミネートはされたが、惜しくも受賞は逃している。

主演女優賞は私も鑑賞した「アノーラ」のマイキー・マディソンであった。
しかし、私の中での主演女優賞はデミ・ムーア。

ラスト30分はB級ホラー感丸出しで、それまでの映画内リアリティをぶち壊して、もうメチャクチャ。

このラスト30分を、どう評価するかはあなた次第。

142分という長めの上映時間にも関わらず、ずっと画面にくぎ付け。
ホラーなのに、思わずニヤニヤニヤニヤしてしまった。

R15指定。
グロ耐性がある方は、是非、ご覧あれ。

第2位:ふつうの子ども

ふつうの子ども

本作は小学生の物語。

小学生4年生の唯士(ゆいし)はクラスメートの女子で、環境問題に強い関心を持つ心愛(ここあ)のことが好き。

唯士は興味もない環境問題を勉強して心愛に近づく。
そこに暴れん坊で問題児の陽斗(はると)が入ってきて、実際に行動を起こそうと提案する。

前から陽斗が気になっていた心愛は、陽斗の提案を受け入れる。
3人は「車に乗るな!」などの張り紙を作り、隠れて町中に貼っていく。

次第に3人の活動はエスカレートし始め、学校でも問題になっていくのだった…。

前半はほっこり。
後半はシリアスな展開になるも、ラストは観客を幸せな気分にさせて終わる。

私は映画館を出ても、しばらくの間、高揚感が消えなかった。
「映画を観るって、この感覚を味わうためなんだよなぁ~。」って心底思わせてくれた。

本作は多くの子どもたちが出演しているのだが、全員最高。

特に唯士を演じた嶋田鉄太くんの存在感が凄い。
ラストの唯士の正直で純粋な告白に号泣。

監督は呉 美保(お みぽ)。
在日韓国人3世。

昨年、呉監督作品として「ぼくが生きている、ふたつの世界」が公開されたが、これも最高に感動した。

恐らく私は呉 美保監督の全ての作品を観ることになるだろう。

第1位:ブルーボーイ事件

ブルーボーイ事件

本作は1964年に実際に起こった「ブルーボーイ事件」をモチーフとしている。

「ブルーボーイ」とは、性別適合手術(当時は性転換手術と呼ばれた)を受けた人を指す。

当時、東京オリンピックの開催に備えた街の浄化運動の一環として、警察はブルーボーイを売春防止法で取り締まりにかかった。

しかし、同法は女子が対象であった。

そのため、警察は矛先を性別適合手術を行った産婦人科医師に向ける。

性別適合手術を行った一人の産婦人科医を警察は優生保護法(現在の母体保護法)違反で逮捕する。

当時の優生保護法では「故なく生殖を不能にすることを目的として手術又はレントゲン照射を行ってはならない」となっていた。

医師側の弁護士は精神の治療のための手術であり、違法ではないと主張。
そのための証人としてブルーボーイを裁判に招くが…。

証人の一人として出廷するブルーボーイの「アー子」を、ドラァグクイーンのイズミ・セクシーさんが演じるのだが、この芝居が凄い。

アー子は「どうして私たちが精神異常者扱いされなくちゃならないのよ!誰か答えてよ!誰か答えてよ!」と泣きながら訴える。

とても映画初出演とは思えない迫力。

その迫力と切実さが観客にもビンビンに伝わってきて、思わず私も泣いてしまった。

結局裁判は1969年に有罪判決を受けてしまう。
そしてこの判決を受けて、日本国内での性別適合手術は約30年間に渡り中断される。

その界隈の人々にとってブルーボーイ事件は、負のエポックな出来事となった。

恐らく映画に登場する各人物の設定は架空であると思われるが、十分なリアリティがあり、心動かされた。

これだけの切迫感のある映画が作れた要因は、監督の飯塚花笑(いいづかかしょう)自身がトランスジェンダーであることが大きいだろう。(飯塚監督は女生として産まれた男性)

誰一人有名なスターは出演していない映画「ブルーボーイ事件」。
しかし、どの映画サイトでも4点以上の高得点を獲得している。

これはモチーフがよかっただけでなく、映画としての仕上がりも素晴らしいものであることを意味していると思う。

ちなみに私が住む鹿児島では上映がなかったため、新幹線で熊本まで行き、熊本にあるミニシアターで鑑賞。

往復1万5千円かけても観る価値のある作品だった。

極端に上映している映画館は少ないが、是非、トランスジェンダーの方の苦しみを理解すべく、多くの方にご覧いただきたい。

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