映画『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』ネタバレ感想・原作との違いを徹底レビュー!実話の衝撃と真相

映画「でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男」を公開から二日目に鑑賞。

フリージャーナリストの福田ますみが書いたノンフィクション「でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相―(新潮文庫)」が原作。

つまり映画は平成15年に実際に起きた事件をモチーフにしている。

概要は次のとおり。

ある小学校の男性教諭が特定の男子生徒に対し、人種差別に基づくいじめ・体罰を行ったとして新聞報道される。

当該教師は六か月の停職に追い込まれ、遂には生徒の両親に訴えられる。

しかし、裁判が進むに連れて、事件は、いじめられたとする児童の両親により、「でっちあげ」られたものであることが判明していく。

そして、先生の無実の証明には10年もかかってしまうのだった…。

監督は三池崇史。

ご存じのとおり、三池監督は多作の人で、これまでバイオレンス、ホラー、コメディなど多くのジャンルの作品を作ってきたが、今回のような社会派の三池映画は初めて観た。

いい意味で三池監督らしくなくて、大変素晴らしい仕上がりになっていたと思う。

綾野剛と柴咲コウのW主演。

映画鑑賞直後まで綾野剛の単独主演かと思っていたが、チラシのビリングを見ると綾野剛と柴咲コウの名が最上部に並んで記載されていた。

ちなみに事件を「でっちあげ」た張本人である児童の母親を柴咲コウが演じた。
サイコパス感が柴咲の体中から放たれ、見ていた背筋が凍る思いだった。

私は今回も原作本を読んでから映画を鑑賞。

概ね映画は原作どおり。

ただし、原作本はノンフィクション「小説」ではなく、ルポルタージュの形であるため、映画内での薮下先生の家族のシーンなどは映画だけの創作になっていた。

いずれにしろ、超胸クソ悪い事件。
しかも事実だというのが驚愕。

正に「事実は小説より奇なり」。

何故、このような「でっちあげ」により、大騒動になってしまったのか。
原作を書いた福田ますみは、本の中で次のように本事件をまとめている。

『子供は善、教師は悪という単純な二元論的思考に凝り固まった人権派弁護士、保護者の無理難題を拒否できない学校現場や教育委員会、軽い体罰でもすぐに騒いで教師を悪者にするマスコミ、弁護士の話を鵜呑みにして、かわいそうな被害者を救うヒロイズムに酔った精神科医。そして、クレーマーと化した保護者。

結局、彼らが寄ってたかって川上を、〝史上最悪の殺人教師〟にでっちあげたというのが真相であろう。

言い換えれば、バイアスのかかった一方的な情報が人々を思考停止に陥らせ、集団ヒステリーを煽った挙げ句、無辜の人間を血祭りに上げたのである。

寝覚めの悪いホラーさながらである。』

映画は社会派サスペンスな物語であるが、確かにホラーに近いかもしれない。

ちなみに原作と映画の主な違いは「人名・地名」。
映画版も原作も基本的には仮名を使っているが、何故か人名を変えていた。

<先生(綾野剛)>
薮下誠一 ⇒ 川上譲

<母親(柴咲コウ)>
氷室律子 ⇒ 浅川和子

<生徒(三浦綺羅)>
氷室拓翔 ⇒ 浅川裕二

ただし、原作の方は一部、実名のままで掲載していた。
例えば、事件を報道した朝日新聞、週刊文春、毎日新聞の記者の名前。

事件当時、先生は実名報道されていたので、記者の名前も実名で載せるのは当然なのかもしれない。

なお、原作では、これら誤報を流した記者に対する取材も行っている。

また、裁判で先生の代理人なった弁護士「南谷 洋至(みなみたに ひろたか)」氏は原作では実名で書かれていた。

地名も違い、映画では架空の都市の名前を使っていたが、実際の事件は「福岡市」で発生している。

もう一つ違いを挙げるとすれば、弁護士の数。

映画では小林薫さんが演じた湯上谷(ゆがみだに)弁護士が一人で先生の代理人として戦っていたが、実際の裁判では上村雅彦さんという方も先生の弁護として活躍していた。

550人もの弁護団に二人で挑んだのだから、この二人の弁護士が本事件の最大のヒーローといっていいのかもしれない。

映画を面白いと感じた方は、是非、原作本も読んで欲しい。

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