【映画感想】呉美保監督『ふつうの子ども』は今年No.1の小学生青春映画!
9月5日から上映の映画「ふつうの子ども」が、一週間遅れで鹿児島で公開されたので、早速鑑賞。
小学生4年生の唯士(ゆいし)はクラスメートの女子で、環境問題に強い関心を持つ心愛(ここあ)のことが好き。
唯士は興味もない環境問題を勉強して心愛に近づく。
そこに暴れん坊で問題児の陽斗(はると)が入ってきて、実際に行動を起こそうと提案する。
前から陽斗が気になっていた心愛は、陽斗の提案を受け入れる。
3人は「車に乗るな!」などの張り紙を作り、隠れて町中に貼っていく。
次第に3人の活動はエスカレートし始め、学校でも問題になっていくのだった…。
前半はほっこり。
後半はシリアスな展開になるも、ラストは観客を幸せな気分にさせて終わる。
私は映画館を出ても、しばらくの間、高揚感が消えなかった。
「映画を観るって、この感覚を味わうためなんだよなぁ~。」って心底思わせてくれた。
本作は多く子どもたちが出演しているのだが、全員最高。
この辺りは監督の演出力だと思う。
特に唯士を演じた嶋田鉄太くんの存在感が凄い。
唯士の正直で純粋な告白に号泣。
鉄太くんの芝居が上手いか下手かは私には分からない。
でも、ずっと鉄太くんを観ていたくなる。
鉄太くんを起用した監督の眼力に感服。
脚本は高田亮が担当。
シンプルな物語なのに、観客の誰もが味わっただろう、子供の頃の苦い経験が思い出され、そこに共感が生まれて映画の中に引きずり込まれる。
考えてみると「小学生」の青春群像劇って、私の記憶にある限り、本作が初めてかも。
そのため、なんだか初めての映像体験をしている感覚になった。
そして「ふつうの子ども」は今年の個人的ナンバーワン映画となった。
監督は呉 美保(お みぽ)。
在日韓国人3世。
昨年、呉監督作品として「ぼくが生きている、ふたつの世界」が公開されたが、これも最高に感動した。
「ぼくが生きている、ふたつの世界」は聾者の親を持つ子供の物語。
この子供役は、今年の実写No.1映画「国宝」で主役を担当した吉沢亮。
ただ、「ぼくが生きている、ふたつの世界」で光っていたのは母親役を担当した忍足亜希子。
この母親役で忍足亜希子はキネマ旬報ベストテンの助演女優賞で1位を獲得している。
「ぼくが生きている、ふたつの世界」の前の呉監督作品は、2015年公開の「きみはいい子」。
たまにしか映画を作らない監督なのかと思っていたら、今年も新作を公開。
映画ファンとしてはうれしい限り。
呉監督には、すぐにでも次回作に取り組んでもらいたい。
残念なのが、公開館数。
これだけ面白い「ふつうの子ども」が、なんと公開映画館数は55館。
しかも、私の住む鹿児島では、ミニシアター1館で、1日1回上映。
全映画館に告ぐ。
直ちに拡大公開せよ。