【ネタバレあり】映画『かくかくしかじか』公開前に原作全巻を読破!あらすじと感動のラストまで一挙紹介
来週の5月15日(金)から、永野芽依主演映画「かくかくしかじか」が公開される。
鑑賞予定のため、同名の原作漫画を読んでみた。
本作は作者で漫画家の東村アキコの自伝漫画。
主人公の林明子(東村アキコの本名)は漫画家になることを目的に美大を目指し、絵画教室に通い始める。
そこでスパルタの講師「日高健三」と出会う。
そこから明子が美大に行き、漫画家になるまでと日高先生への思いが描かれる。
本作は『Cocohana』(ココハナ)という集英社が発行する大人の女性を対象読者とする日本のヤング・レディース誌に、2011年から2015年に連載されたらしい。
単行本は全5巻。
私のような昭和生まれの人間からすると、新たな漫画を読むって、結構苦痛。
小説の方が頭に入ってきやすい。
しかし、漫画「かくかくしかじか」は、メチャクチャ読みやすくて面白い。
各巻のネタバレあらすじは次のとおり。
<1巻>
明子は幼い頃から自分を絵の天才と思い込み、漫画家になるステップの一つとして美大を目指す。
町の絵画教室に通い始めるが、そこで鬼のスパルタ講師「日高健三」と出会う。
グータラで、要領よく生きようとする明子は、日高から逃げ出そうとするが、日高の純粋な面を感じとり、なんとか日高の下で腕を磨く。
大学受験が近づき、推薦で進学しようとするも不合格。
インチキ猛勉強と絵画の猛特訓により、大学受験に挑む。
<2巻>
明子は金沢美大に合格。
宮崎を離れ金沢で一人暮らしをしながら大学に通い始めるも、全く絵を描こうともせず、遊び惚ける明子。
久々に地元の宮崎に帰省すると、日高先生が現れ、スパルタ講習が始まる。
スパルタながら、大学入学前に無心で描いていた頃の気持ちを取り戻す。
しかし、大学に戻ると、結局は描かなくなり、更に5浪した後輩男子と恋に落ちていく。
そんなときに日高先生が金沢を訪れて、明子の近況を見に来る。
しかし、明子は先生を邪険に扱い、彼氏のところに逃げ込んでしまう。
先生が宮崎に帰った後、自分の部屋に戻り、先生のお土産の焼酎を見て、自分のやったことを後悔するのだった・・・。
<3巻>
明子は美大を卒業し、宮崎に帰って働きながら漫画を描き始める。
明子は漫画家を目指していることを日高先生に秘密にしていたが、遂に日高先生に伝え、出版社に送った漫画が入賞して9万円の賞金をもらったことを伝える。
明子は怒られると思ったが、日高先生は漫画を描いてお金を稼いで、その金で絵を描けばいいという。
とにかく「描け!」と言う日高先生。
しかし、明子は漫画家の道を選ぶが、どこか後ろめたさを感じるのだった。
<4巻>
明子は宮崎に帰って、働きながら漫画を描き、遂に連載を持つ。
漫画に集中するため、漫画家が多くいる大阪に移住。
移住する際、日高先生には「半年くらいで戻ってくる」などと嘘をついてしまう。
大阪での漫画家生活は順調に進み、明子は徐々に売れっ子作家になっていく。
そんなときに日高先生からの電話。
肺がんになり、余命4か月だという。
そして、日高先生は明子に対し、日高先生の絵画教室に通う多くの美大受験生の面倒を見てやって欲しい、教室を継いでくれと言う。
<5巻>
余命4か月と宣告された日高先生からの連絡を受けて、宮崎に飛んで帰る明子。
飛行機の中では絵画教室を継ぐ決心をしていたものの、まだ元気な日高先生を見て、結局は大阪に戻って漫画に専念する。
お盆の帰省時に明子は先生に会いに行く。
せき込みながらも絵を描き続けている日高先生。
それが明子が日高先生と会う最後であった。
日高先生の葬式の日、明子は先生が死んだ実感がなく、涙が出ない。
葬式後の飲み会で、日高先生の弟子の一人である今田が亡くなる直前の先生の様子を語る。
今田のグループ展に日高先生は車いすで見に来てくれたという。
その展示で今田はライブペインティングをしようとするも描けずにいた。
すると弱り切った先生が今田に何やら伝えようとしている。
今田は先生の口に耳を近づけると、かすれた声で言った。
「描け」
それを聞いた明子を含む弟子たちは、その日、初めて泣いた。
時は流れて、40歳になった明子は先生のことを思う。
先生と絵画から逃げて、漫画を描いている自分を思う。
これまで絵画と漫画は違うと思っていたが、「描く」という点では共通。
そして漫画の世界も厳しい世界。
日高先生の「描け」という言葉が今も明子を支えている。
あのムチャクチャで、スパルタな先生のおかげで今の自分がある思いを綴って物語は終わる。
「かくかくしかじか」は、作者である東村アキコの自伝であるが、最初から最後まで日高先生との思い出を描いているともいえる。
読者は当初から「亡くなった」日高先生への思いを綴っているのだと予感され、日高先生の余命の告白に驚きはなく、遂にきたかという感じ。
だから、明子と同じく読者も日高先生の訃報を聞いただけでは実感はなく、今田の最後の先生の様子を語るところで涙が溢れる。
ただ、この物語は「恩師との思い出話」だけに留まらず、様々なテーマとメッセージを通じて読者は明子に共感し、物語の中に引きずり込まれて感動する。
明子の夢は明確で、そこに向かって進んでいるはずなのに、その人生には喜びだけでなく苦しみも描かれ、そこに読者はリアルを感じ、共感する。
また、「若い頃の未熟さゆえに見落としていた大切なことに、後になって気づく」という普遍的な構造が物語全体を通して描かれ、読者に共感と余韻を残す。
「不安」「後悔」「逃げたい気持ち」「自分のダメさ」といった、誰しもが感じるような感情を赤裸々に描いている。
だからこそ、「東村先生と自分とではレベルが違う」と思いつつも、共感してしまうから不思議。
そして、そんな等身大の弱さや迷いが、厳しい先生の言葉や出来事を通して少しずつ変わっていく姿を見ると、「自分ももう少し頑張れるかも」と読者に思わせてくれるのが、この作品の凄いところ。
そして日高先生の「描け!」という言葉が、明子だけでなく、読者にも「考える前に先ず動け!」として心に響く。
考えてから動くのではなく、動きながら考える。
分かっているのだが、なかなかできない…。
『かくかくしかじか』は、基本的にはギャグ漫画で、笑いあり涙ありのエピソードで読みやすく描かれているが、その裏には非常に深い人生哲学が込められている。
特に若い人や、創作活動をしている人には強く響く内容。
これをいかに具象化するのか、映画版がメチャクチャ楽しみ。
何やら主演の永野芽依が不倫疑惑で騒動になっているらしいが、私は性格的に全く気にならない。
映画鑑賞後には原作との違いなどを考察する予定。
是非、皆さんも原作を含めてご覧あれ。