映画『近畿地方のある場所について』ネタバレ感想|原作との3つの違いを徹底比較
今日から公開の映画「近畿地方のある場所について」を鑑賞。
主演は菅野美穂と赤楚衛二。監督は白石晃士。
あらすじ(ネタバレなし)
オカルト雑誌の特集記事を作っていたスタッフが失踪。
その調査を、瀬野(菅野美穂)と小沢(赤楚衛二)が引き継ぐ。
やがて、失踪したスタッフは「近畿地方で発生したオカルト現象」の過去記事を集めていたことが分かってくる。
二人の周囲でも怪奇現象が発生し、最後には瀬野の恐るべき企みが明らかになっていく。
原作小説との違い(ネタバレあり)
事前に原作小説(文庫版)を読んで鑑賞。かなり改変されていた。
主な違いを3つ挙げる。
① 瀬野と小沢の関係
- 映画版では年齢が離れているが、原作版では大きな年齢差を感じさせる描写はなし。
- 原作では物語後半で「瀬野は小沢の元妻」であることが明らかに。
- 原作の瀬野は、蘇った「了(あきら)」(映画版では頭が真後ろに折れた少年)の姉。
- 映画版の瀬野は死んだ自分の子供を蘇らせるために「ましらさま」を鎮めた大石を探しているが、原作の瀬野は蘇った弟・了を探すために小沢に協力。
- 原作では小沢と結婚生活中に瀬野が流産するが、その子を蘇らせようとしたわけではない。
- そのため、映画のように小沢を「ましらさま」のいけにえにするシーンはない。
② 調査開始の経緯(佐山の存在)
- 映画版では雑誌関係者・佐山が失踪し、その記事を引き継ぐ形で調査が始まる。
- 原作には佐山は登場せず、若いスタッフが辞めたため、小沢がライターの瀬野に協力を依頼する形。
- 佐山がいないため、佐山の妻も登場しない(映画で妻が狂ってしまった理由は不明)。
③ 「まさるさま」の由来
- 映画版では「近畿の怖い話」という童話アニメで説明。
- 原作では、怪奇現象が起きる場所付近の老人が実話として語る。
原作のエピソード:
「まさる」は母を亡くし、寂しさから精神を病んで人形を作り、話しかけるようになる。
村人から「柿の木問答」(初夜の合言葉)を教えられ、「まさる」は村中の女に「柿があるからこい」と言い回る。
気味悪がられ孤立。
やがて「まさる」は村の女を殺し、その女の旦那や若い衆に袋叩きにされ、最後には自分の頭を石に打ち付けて自殺してしまう。
村人は山林に「まさる」を埋め、大石を墓標代わりに置く。
その後、村の女たちが次々とその大石に頭を打ち付けて死に、「まさるの祟り」とされる。
村人は大石にしめ縄を巻き「まさるさま」と呼び、まさるがこだわった人形や柿を供えるようになった。
総評
細かい違いは他にも多いが、この3つが大きな差と感じた。
正直、原作も映画も傑作とは呼び難い。ストーリーが分かりづらく、映像的な怖さを優先するあまり、物語の整合性が軽視されている印象。
夏の学生向けホラーなので、緻密さは求められていないのかもしれない。
先週から公開の**「事故物件ゾク 怖い間取り」**と比べると、ビジュアルの怖さは本作が若干上だが、ストーリーのまとまりは「事故物件ゾク」に軍配。