映画『ナイトフラワー』感想|内田英治タッチ大爆発! 北川景子が見せた壮絶な転落劇
映画「ナイトフラワー」を公開初日に鑑賞。
主演は北川景子。
監督は内田英治。
本作は二人の子供を持つシングルマザーの物語。
(以下、あらすじ)
夫の蒸発と多額の借金で、二人の子どもを抱えた夏希(北川景子)は生活が崩れていく。
バイトを掛け持ちしても追い詰められる日々。
そんな中、彼女はある出来事をきっかけに“麻薬の売人”への道へ踏み出してしまう——。
「ミッドナイトスワン」を観て以来、私は内田監督のファン。
今回鑑賞した「ナイトフラワー」も、内田タッチが十分に反映されていて、ファンとして大変楽しめた作品であった。
ちなみに私は地方のシネコンの中くらいのスクリーンで鑑賞したが、結構なお客さんが入っていた。
今週の興行収入ランキング1位は「ナイトフラワー」で間違いないない。
本作も含め、内田監督は、ほとんどの作品を自身が脚本を担当している。
内田脚本は、お世辞にも「上手い」といえず、物語の設定と演出が、強引というか、過剰というか、漫画チックな作品である印象を個人的には持っている。
本作でいえば、次の箇所。
・過剰なまでの貧困家庭
・いくら貧困とはいえ麻薬の売人なってしまう
・夏希が麻薬を売っていた若い娘が交通事故で死ぬ
・交通事故で死んだ娘の母が探偵から拳銃を入手する
・保育園児の息子が他の園児に目に一生残るケガを負わす
・娘のバイオリンを友達のいじめで壊されてしまう
つまり、普通の脚本家では書けない物語になっていて、それが功を奏していることが多く、そしてこの強引なストーリーが内田監督の特色になっている。
逆にいうと、脚本を内田監督が担当しないと、内田監督らしくない映画ができあがる。
いい例が今年の7月に公開された内田英治監督の映画「逆火」。
「逆火」は脚本を「まなべゆきこ」さんという方が担当されて、いつも内田監督っぽさがなかった。
内田監督っぽくはないが、「逆火」も面白く、観たときに「あぁ、内田監督って、こんな風な作品も撮れるんだ」と思ったことが忘れられない。
しかし、今回観た「ナイトフラワー」は、(私が思う)内田タッチ大爆発。
強引で、ご都合主義的で、リアリティがない場面もありながら、なぜだか引き込まれてしまう。
それはやっぱり内田監督の人間の闇の部分をエグい描写で暴きだしているからだと思う。
そこに客の心が響き、作品の世界に引きずり込まれてしまう。
過剰な設定が極限状況に置かれた登場人物のむき出しの感情や生命力を描き出すための演出的な装置として機能していると見ることができる。
ちなみに内田監督は歪んだ家庭に育った人間の末路を描く作品が多い。(「グレイトフルデッド」「獣道」「ミッドナイトスワン」)
「ナイトフラワー」でも毒親に育てられたキャラクターが多数登場する。
また、逆に血のつながらない他人が両親の立場になっていく姿も描いていく。
自分の子どもに愛情を注がない毒親も多くいる中で、核家族化が進み、地域コミュニティがなくなっていく現代の世界に内田監督は危機感を覚えているのかもしれない。
話は変わるが、内田監督のように原案・脚本・監督を一人でやって、現在話題になっている人物がいる。
細田守だ。
細田監督の「果てしなきスカーレット」が大コケ、大爆死中。
私は「果てしなきスカーレット」を大型のスクリーンで観たが、客の数が果てしなくスカスカスカーレットだった。
「細田監督が脚本をやり始めてから面白くなくなった」と言われて久しいが、どうしても細田監督が自分で脚本を担当したいのであれば、是非、細田守には内田監督を見習って欲しい。
「果てしなきスカーレット」のような偽善的な物語ではなく、細田監督には内田監督のように人間の心の闇をエロ・グロのタッチで描き出すアニメを作って欲しい。
セックス・ドラッグ・ロックロールの世界をR18指定で作る細田アニメ。
大ヒット間違いない。
細田監督の復活の道は、これしかない。
細田監督も含め、多くの人に、かっこつけない泥まみれの内田監督作品を観てもらいたい。