【ネタバレあり】映画『HELP 復讐島』感想・考察|サム・ライミが撮った“復讐じゃない”ブラックコメディ
映画「HELP 復讐島」を公開初日に鑑賞。
皆大好きサム・ライミが監督。
昭和生まれの私にとってのサム・ライミは「死霊のはらわた」シリーズや、「ダークマン」の印象が大きいが、若い世代にとっては「スパイダーマン」なのだろう。
大人になってから知ったのだが、サム・ライミはアメリカンコミックが大好きで、若い頃から「スパイダーマン」の監督をやりたかったが、できないので仕方なく「ダークマン」を撮った人。
今「ダークマン」を見ると、思いっきりスパイダーマンなシーンがあるから笑える。
「死霊のはらわた」も、当時はホラー映画としか考えていなかったが、見返すとストーリーもルックも、アメリカンコミックそのもの。
その独特な撮り方がハマる人にはハマる。
私もその一人。
今回の「HELP 復讐島」もサム・ライミタッチ大爆発。
メチャクチャ面白い。
主人公は副社長への昇進が内定していた中年女性のリンダ。
社長が死に社長の息子が社長になる。
その若い社長のブラッドリーにリンダは嫌われ、暴言の数々を浴びせられる。
ある日、リンダは社長の出張に同行。
その道中、乗っていた飛行機が墜落。
二人は無人島に流れついていく。
リンダはテレビのサバイバル番組に出演を願っているほどのアウトドアの達人。
一方、ブラッドリーは足に大けがを負って動けない。
リンダは持ち前のスキルを使ってブラッドリーを回復に導いていくが、ブラッドリーは相変わらずボス面をする。
そんなブラッドリーの態度にリンダは介護を止めて応戦。
遂にブラッドリーはリンダに謝罪し、二人の共同生活が始まるが…。
(ここからネタバレ)
実は復讐の物語ではないようにも取れる。
確かにパワハラクソ上司だったブラッドリーを従えることにリンダは快感を覚えていたのは確かだと思う。
しかし、リンダは一生懸命介護していたし、ブラッドリーの裸に見とれたり、大雨の際は洞窟の中で寒さをしのぐために抱き合ってブラッドリーの胸に顔をうずめたりと、ブラッドリーを心の底から憎んでいたというシーンはなかったかと思う。
映画の邦題には復讐という言葉が入っているが、原題は「Send Help」。
サム・ライミとしては復讐の物語を作っているという気持ちは無かったかもしれない。
ジャンルとしては「スリラー」に分類されているが、私から言わせると「ブラックコメディ」。
明らかに笑わせようとしているシーンも多くあった。
監督も出演者も楽しんで製作しただろうことが伝わってくる。
怖い映画というよりは楽しい映画だった。
全編コミックな感じで、よくよく考えるとファンタジーなストーリーなのだが、不自然に感じさせないのは、さすがサム・ライミといったところ。
三人も殺しておいたリンダが、最後に成功して終わるラストも面白い。
観終わって多くの観客はリンダみたいに森で自給自足できるスキルを身につけたいと思っただろう。
森で自給自足できれば、人生で破滅しても、最後は森に行けばいい。
究極のセーフティネットはアウトドアスキルなのかもしれない。
三人殺しのリンダを大好きになってしまう危険な映画「HELP 復讐島」。
是非、ご覧あれ。