映画「こんにちは、母さん」ネタバレ レビュー 家族から頼られる喜び! 無償の行為こそ人間の真の幸福だ!

映画「こんにちは、母さん」を鑑賞。
監督は私の大好きな山田洋次さん。

主演は吉永小百合と大泉洋。

大会社の人事部長を務める神崎昭夫(大泉洋)。
ある日、昭夫は職場の同期の木部(宮藤官九郎)から、屋形船で同窓会をやろうと相談される。

東京の下町に住む昭夫の母・福江(吉永小百合)なら屋形船の知り合いがいると思い、昭夫は実家に足を運ぶ。

足袋を作る職人だった夫は亡くなり、福江は昔ながらの古い家で一人暮らしをしていた。
福江は細々と足袋を売りながら、ホームレス支援のボランティア団体で活動していた。

一方、昭夫は会社で毎日のようにリストラ勧告を行い、プライベートでは妻に逃げられ、娘は家出中。日々、心をすり減らしていた。

久々に会った母親は一人暮らしのくせして、なんだか生き生きしている。
それは一緒にボランティア活動をしている牧師(寺尾聡)に恋をしていたからだった。

しばらく昭夫が実家にいると、昭夫の娘である舞(永野芽依)が現れる。
家出した舞は、福江の家で暮らしていたのだった。

大学四年生の舞は、将来に不安をかかえる中、大会社に就職するか、大会社に勤めている人と結婚すればいい、などという母親に嫌気がさして家出したのだった。

そんな中、木部が昭夫のデスクに現れる。
木部は、自分がリストラの対象になっていたことを教えなかった昭夫に詰め寄り、職場で大騒ぎをする。

木部は「絶対に辞めない!」と啖呵を切って去っていく。
後日、木部は無理やり会社の企画会議に出席。

上司から会議室から出ていくようにと強引に腕をつかまれていたところ、木部は上司に軽いけがを負わせてしまう。

木部は当然懲戒免職。
しかし、昭夫は人事部長の権限で再就職に変更。
その責任をとって昭夫は会社を辞めてしまう。

そのころ、母・福江の方は、牧師と遂にデート。
しかし、デートの最後に牧師から北海道に転勤になったことを告げられる。

どん底に落ち込み、家で酒を飲む福江。
そこに離婚し無職となった昭夫が現れる。

晴れ晴れとした顔をした昭夫は母に対し、しばらく娘と一緒に実家で暮らしたいとお願いする。

母・福江は「しょうがない、母さんの出番だね!」と言って、みるみる元気になっていくところで映画は終わる。

家族から頼られることって、実は頼る方だけでなく、頼られる方にも力と喜びが与えられる。
劇中、福江が行っていたボランティア活動も同じなのかもしれない。

無償の行為にこそ、人間の真の喜びが隠れている。
そういう忘れがちなことを改めて気づかせてくれるという意味で、本作品は優秀な作品といって間違いない。

ストーリーとは直接関係ないが、田中泯さんがホームレス役で出演していた。
メチャクチャ存在感のある芝居。

田中泯さんは元々は舞踏家であるが、50代の後半に山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」で映画初出演。「たそがれ清兵衛」で初めて田中泯さんの芝居を観た時の衝撃は忘れられない。

田中泯さんを観るだけでも、「こんにちは、母さん」は観る価値あり。

それにしても山田洋次監督の作品に大外れはない。
それは、山田洋次監督が割り切って「日本人向け」に作っているからだと思う。

日本人が作る、日本人しか分からない映画。
映画って、そもそも土着のものだと思うし、それでいいと思う。

山田洋次監督は御年91歳。
人生100歳時代。
山田監督には、まだまだ映画を作って欲しい。

 

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