映画「法廷遊戯」のネタバレ解説と感想 – 法廷の限界に挑戦するが物足りない展開

本日から公開の映画「法廷遊戯」を鑑賞。
第62回メフィスト賞を受賞した五十嵐 律人著の同名小説が原作。
タイトルから分かるとおり、法廷もの。

法廷ドラマは魅力的なものが多いが、本作品は全く面白くない。
前半はロースクールでの無辜ゲームなる学生による模擬裁判が行われるのだが、これがダラダラ進んでいって、あくびが止まらない。

途中で何度も映画館を出ようと思ったが、後半から徐々に観るに耐えるレベルになってきたので、かろうじて最後まで鑑賞。

主人公は弁護士を目指す久我清義(永瀬廉)。
清義は幼いころから施設で育った。

同じロースクールに通う織本美鈴(杉咲花)も清義と同じ施設の出身者であった。

清義は学内で清義の過去を暴くチラシが配布される嫌がらせを受けていた。

また、そのロースクールでは、学内で起こった事案を題材に「無辜ゲーム」という模擬裁判を定期的に行っていた。

この無辜ゲームを仕切っていたのは、清義の友人の結城馨(北村匠海)であった。

数年後、清義は弁護士になっていた。
ある日、ロースクールで研究を続けていた馨から、無辜ゲームをやっていた場所に来て欲しいとの連絡が入る。

清義が呼び出された場所にたどり着くと、馨は胸をナイフで刺されて死んでいた。
振り向くと返り血を浴びた美鈴が立っている。

美鈴は清義に「私を弁護して欲しい」と言い、その後逮捕されてしまう。

清義は弁護を引き受ける。
ある日、清義は、馨の死んだ父親が清義と美鈴が高校生の頃に起こした重大な事件の関係者であったことを知る。

清義と美鈴は、高校生の頃、車内で痴漢を誘発して、その男を清義が捕まえて、その男から金を巻き上げていた。

あるとき、警察官だった馨の父親(筒井道隆)は電車内で美鈴を捕まえる。
美鈴は逃げようとするも、駅の階段で馨の父親に腕を捕まれてしまう。

そこで清義は美鈴を助けるため、馨の父親が背負っていたリュックをひっぱる。
馨の父親と腕を捕まれていた美鈴の二人は階段を転げ落ちて怪我を負う。

その後、美鈴は馨の父親から痴漢されたとウソをつき、警察官が痴漢をしたとしてマスコミに大きく取り上げられてしまう。

馨の父親は無罪を主張したものの、美鈴のウソの方が信じられ、裁判は有罪となってしまう。

そのことのショックで馨の父親は自殺したのだった。
馨は、父親の無実を法廷で証明するため、美鈴を殺人犯に仕立てる計画を立てる。

馨は清義を呼び出す直前の時刻に美鈴を呼び出し、カメラの前でナイフを自分の胸に突き刺す。

美鈴が止めようとするも、馨は死んでしまう。
カメラで録画された映像が裁判で流され、美鈴の無実が確定する。

この無実の獲得は馨と美鈴の二人で事前に計画したシナリオであった。
しかし、ナイフでの殺傷は未遂とし、馨は死なないはずであった。

馨は美鈴の過去の犯罪を知っていたため、実際にはカメラの見えないところで、美鈴は馨を裏切り、ナイフで殺していたのだった。

無実が確定し、自分の過去を知る者も消し去り、これで愛する清義とともに暮らせると思い、美鈴は高笑いする。

しかし、清義は馨の父を突き落とした罪を償うため、弁護士を辞めて、警察に向かうところで映画は終わる。

法律や、裁判は、必ずしも真実を明らかにするわけでなく、馨の父親のように無実の人間が有罪となり、また、美鈴のように犯罪者が無罪となっていく。

法廷の限界をテーマにしている映画なわけだが、迫ってくるものがない。
物語の進行にスピード感がないから、心に響かない。

恐らくは原作を映画用に短くしたことが要因の一つと思われる。
ただし、簡略化した割には物語は若干複雑。

今映画を観るなら、無難に「ゴジラ-1.0」。
残念。

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