カメラの絞り値は√2(ルート2)のN乗! 意外と知らない絞り値の意味
カメラのレンズの絞り値(F値)の基本は、1 ⇒ 1.4 ⇒ 2 ⇒ 2.8 ⇒ 4 ⇒ 5.6 ⇒ 8 ⇒ 11 ⇒ 16が基本だ。
例えば絞りをF2から1段暗くする(光の量を半分にする)には、F2.8にすればいい。
逆に1段明るくする(光の量を倍にする)ならF1.4。
この絞り値の基本数値の順列は√2(ルート2)のn乗になっている。
1=√2の0乗
1.4=√2の1乗(1.414213…)
2=√2の2乗
2.8=√2の3乗(2.82827…)
4=√2の4乗
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何故、F値の基本数値が√2のn乗になっているかは後述する。
職場で部下にカメラ好きの若者がいて、試しにF4を1段絞ったときの値は?と聞くと答えられなかった。
これはこの若者が悪いわけではなく、最新のレンズには、ほとんど絞り値が記載されていないから覚えられないのだ。
私のような機械式の完全フルマニュアルのカメラで遊んだ経験のある人間は、毎日レンズを見ている間に自然とF値の基本を覚えてしまう。
今のカメラは、絞りをレンズではなく、カメラ側で変える。
だから、レンズにF値を記載しても意味がない。
記載がないから覚えられない。
しかも今のカメラでレンズの絞り値をマニュアルで変える場合、基本の絞り値から次の絞り値までに3段階の値が表示されてしまう。
例えばF2.8をF4に変えると、F2.8 ⇒ F3.2 ⇒ F3.5 ⇒ F4の順番でF値が変わっていく。
色々な数値がカメラに表示されてしまうので、覚えられないのも無理はない。
最近、カメラを始めた者がF値を変える場合、F値を見ることなく、カメラモニターや、電子ビューファインダーに映し出された映像の明暗と被写界深度を見ながら、感覚でF値を決めているようだ。
それでも撮れることは撮れる。
ただ、F値の基本数値を知っていた方が自分の撮影意図を写真に反映させやすい。
カメラを長くやっていれば分かってくるが、最終的にはマニュアルモードで撮ることが一番だし、逆に撮影が早くなる。
その境地に達するためにも、絞り値の基本数値は必ず覚えておく必要がある。
冒頭に記載したとおり、絞り値の基本数値は√2(ルート2)のn乗になっている。
何故か。
実は簡単で、絞り値の定義と円の面積の公式を思い出せばいい。
先ずは絞り値の定義。
絞り値=焦点距離 ÷ レンズの直径(正確には有効口径)
例えば焦点距離が50mmのレンズで、レンズの直径(有効口径)が50mmであれば、絞り値はF1となる。
そもそも絞りとはレンズ内の複数の絞り羽を出して、円に近い形の多角形を作り、レンズに入る光の量を少なくする。
レンズの円の面積を、絞り羽を出すことにより、面積を2分の1にすれば、光の量が2分の1になる。
円の面積を2分の1にするには、元の円の直径を何分の1にすれば、面積は2分の1になるだろうか。
円の面積の公式は、次のとおりである。
円の面積=円周率 × 半径の2乗
円の面積を求める場合、半径は2乗されるため、半径(直径)を2分の1にしてしまうと、面積は4分の1になってしまう。
面積を2分の1にするには、元の円の直径を2分の1ではなく、√2分の1にする(√2で割る)必要がある。
円の面積が2分の1になった円の面積を2分の1にするには、更に√2分の1にすればいい。
このため絞り値の基本は、F1から初めて、√2のn乗になっていく。
このことは基本であるにもかかわらず、知らないでカメラをやっている人が多い。
難しい理屈ではないので、カメラを趣味にしている人は理解しておいて欲しい。