映画「首」ネタバレ解説:本能寺の変と武将たちの裏切りに迫る北野武監督作

公開初日に映画「首」を鑑賞。
監督は北野武。
本作は本能寺の変を中心に当時の武将たちの残虐で冷酷な裏切りの数々が描かれる。

物語は織田信長(加瀬亮)に身も心も捧げつくした荒木村重(遠藤憲一)の謀反から始まる。

戦いに敗れ逃走中の村重を千利休(岸部一徳)に使えてた元忍者の曽呂利新左エ門(木村祐一)が捕らえる。

利休は村重を秘密裏に明智光秀(西島秀俊)に引き渡す。
ところが村重と光秀は男色関係にあったため、光秀は信長に嘘をつき村重をかくまい続ける。

一方、信長は自分の跡目を餌に村重の捜索や、自分に忠誠を尽くすことを命じる。
しかし、実際には信長は跡目を息子の信忠にするつもりであった。

そのことを書いた信長から信忠への手紙を入手した羽柴秀吉(北野武)は、これを利用し、光秀に謀反を促す。

手紙を読み、信長の卑劣な真意と日ごろからの横暴に耐えかねた光秀は反旗を決意する。
本能寺へ奇襲は成功するも、ご存じのとおり、光秀は三日天下で終わる。

戦いの中で死んだ無数の首が秀吉の前に集められ、光秀の首を探すところで映画は終わる。

なお、武将たちの人間模様と平行して、秀吉に憧れ、平民から戦に身を投じていく難波茂助(中村獅童)の人生も描かれる。

本作では登場人物の全てが誰かを裏切る。

光秀も男色関係にあった村重を最後には殺してしまう。
茂助も親友の「タネやん」を殺し、武将の首を横取りして名をあげる。

生きるか死ぬかの戦国時代にあっては裏切りも当然のことだったのかもしれない。

本作は裏切りと裏切りに伴う残虐な殺人のみならず、武将たちのホモセクシュアルシーンもリアルに表現される。

ちなみに今回、私は上司と上司の奥様の三人で鑑賞。

その奥様はNHKの大河ドラマをご覧になっている方で、奥様によるとNHKの方は戦国時代を美しく描かれていることがほとんどだが、本作の方が当時のドロドロした状況をリアルに描いているとおっしゃっていた。

北野監督の他の作品と同様、スーパーブラックジョークな形で表現されている暴力シーンも多いが、実はこれがリアルに近いのかもしれない。

また、大河ドラマを見続けてきた奥様によると、本作はかなり史実に忠実に作られているという。

一緒に鑑賞した上司が「殺人まではないものの、我が社も似たようところはある。」とおっしゃっていたのが印象的。

そう言われたらそうなのかもしれない。
私も含め、意識か、無意識か、誰かが誰かを裏切るということは当時も今も変わらないのかもしれない。

こうした他の鑑賞者の意見は本当に参考になる。
一人行動が大好きな私だが、映画だけは誰かと一緒に観たいと思う。
その人がどう感じたのか知りたい。

映画は観ただけでは意味がない。
自分がどう感じたかを誰かに話したり、書いたりして映画の内容やテーマが整理され、鑑賞者の知恵や知識として定着していく。

今回鑑賞した「首」は登場人物が多く、ターハイな映画だが、その分、鑑賞後に色々と語り合うことができる映画だと思う。

残虐シーンも多いが、なかなかに面白いので、本作「首」は一人ではなく複数で鑑賞あれ。

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