時代劇ファン必見!松本幸四郎主演「鬼平犯科帳 血闘」レビュー:血を受け継ぐ新・鬼平誕生!

公開中の映画「鬼平犯科帳 血闘」を鑑賞。
ザ・時代劇な作品で、往年の鬼平ファンも納得の仕上がりになっていたと思う。

ご存じのとおり本作は作家の池波正太郎先生の同名小説が原作。

鬼平こと主役の長谷川平蔵は松本幸四郎が演じる。
松本幸四郎の息子である市川染五郎も若き日の平蔵「長谷川銕三郎」役として出演。

鬼平犯科帳といえばテレビの時代劇ドラマが有名。

今回の映画版は「池波正太郎生誕100周年記念」作品の一つで、昨年は「仕掛人 藤枝梅安」が映画化され、2作品公開された。

梅安を豊川悦司が演じたのだが、2作ともめちゃくちゃ面白いので、こちらもお勧め。

ちなみに映画版の藤枝梅安パート2のエンドロール後に梅安と平蔵がすれ違う映像が流れる。

テレビドラマ版の鬼平犯科帳の初代の平蔵役は八代目松本幸四郎(後の初代松本白鸚(はくおう))で、その後、丹波哲郎、萬屋錦之介、二代目中村吉右衛門と続く。

初代の平蔵を演じた八代目松本幸四郎は現在の十代目松本幸四郎の祖父であり、最も長く平蔵を演じた二代目中村吉右衛門は現松本幸四郎の叔父にあたる。

今回の映画版の平蔵に十代目松本幸四郎が選ばれた理由は、過去に平蔵を演じた人々の血統が背景にあるようだ。
映画のタイトルも「血闘」だし。

今更説明するのもなんだが、鬼平犯科帳の主役である長谷川平蔵の役職は火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)の長官。

火付とは放火のことで、盗賊はドロボウというよりは強盗団のこと。
つまり、凶悪な犯罪者を取り締まる特別な警察業務を行う集団が火付盗賊改方なのである。

そして長谷川平蔵は1700年代の後半を生きた実在の人物。
これを池波先生が調べ上げ小説にする。

小説版の鬼平犯科帳は文藝春秋社の「オール読物」で1967年から1989年の間に掲載された。

連載当初の編集担当は、現在、「月刊Hanada」の編集長である花田紀凱(はなだ かずよし)さんだったようで、「鬼平犯科帳」という題名も花田さんが考案したという。

私は花田さんのYoutubeチャンネルを毎週欠かさずに視聴しているので、これには驚いた。

今回の映画版は小説版の「血闘」の章を映像化している。
若き日の平蔵が世話になった居酒屋の娘・おまさ(中村ゆり)が密偵になりたいと申し出て来るところから始まる。

平蔵は申し出を断るが、諦めきれないおまさは、凶悪な盗賊「網切の甚五郎」一味に潜り込むが、密偵であることがバレてしまい、命が狙われていくという物語。

時代劇というのはファンタスティックで、ノンリアルな描写も許せてしまうという不思議な力を持っていて、そこが時代劇の魅力。

今回の映画版鬼平でも、一人で何十人もの悪党を切り倒していくシーンがいくつかあり、冷静に考えるとあり得ないが、鑑賞中は観客も熱くなっていく。

昨年、藤枝梅安パート2で、長谷川平蔵を松本幸四郎が演じるのを知った際は、なんとなく違和感を感じた。

松本幸四郎さんがダメということではなく、ハンサムな顔立ちなので、「鬼の平蔵」という役柄に合わないのではないかと思ったのだが、実際には杞憂であり、無用な心配だった。

松本幸四郎の殺陣は初めて観たと思うが、流石に歌舞伎役者だけあって、体幹の強さが分かるというか、剣さばきが「堂に入っている」と感じた。

松本幸四郎版の平蔵は映画だけでなく、テレビ版も何本か製作されるようだが、是非、映画館で迫力の鬼平を堪能していただきたい。

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