2024年 第47回日本アカデミー賞授賞式直前!最優秀作品賞予想と注目作品の紹介
2024年 第47回日本アカデミー賞の授賞式が迫ってきた。
授賞式は令和6年3月8日。
既に各部門の優秀賞は公表され、授賞式当日に「最優秀」が発表される。
米アカデミーの場合「ノミネート」という形を取るが、日本アカデミーは優秀賞の中から最優秀を決める形になっている。
そうすれば最優秀を取れなくても「日本アカデミー賞 優秀賞作品」と言える。
大人の事情ですな。
今年の優秀作品賞は、「怪物」、「ゴジラ-1.0」、「こんにちは、母さん」、「福田村事件」、「PERFAECT DAYS」の5作品。
私は全作品を鑑賞済みなので、最優秀作品賞を予想してみたい。
<予想>
本命:「ゴジラ-1.0」
対抗:「PERFAECT DAYS」
単穴:「怪物」
<個人的希望>
本命:「PERFAECT DAYS」
対抗:「怪物」
単穴:「福田村事件」
「ゴジラ-1.0」を本命にした理由は次のとおり。
- 世界興行収入が100億円突破の大ヒット
- ロングラン(令和5年11月3日から令和6年2月末現在も劇場公開中)
- 米アカデミー賞「視覚効果賞」にノミネート
作中、ゴジラを海の底に沈める「海神作戦」が始まると同時にゴジラのテーマ曲が流れるが、映像と音楽が完全にシンクロしていて、その部分は私も心が動かされた。
今年の日本映画を代表している作品と言って間違いないだろう。
個人的には海神作戦のところ以外に面白さを感じなかったので、最優秀になって欲しいとは全然思わない。
最優秀に選んだのは、あくまでも「客観的」に考えた結果。
日本アカデミー賞の場合、投票権を持つ会員が4千人くらいいるらしく、その多さから、映画ファンというよりは、一般大衆の感覚に近いものが選ばれる蓋然性が高いと個人的には思っており、そのため「ゴジラ-1.0」を最優秀と予想してみた。
ちなみにアカデミー会員の4千人は全て映画製作関係者。
だからといって、ノミネートされている作品を全て観ているかは怪しい。
会員条件に「年間100本以上の映画を劇場で観ている」を加えて欲しいものだ。
「PERFAECT DAYS」を「対抗」(二番手)に選んだ理由は、「多くの観客の映画の世界の地平を広げた」こと。
公衆トイレの掃除を仕事とする初老の男性「平山」の生活を追うだけの超絶シンプル映画にも関わらず、気が付くと観ている人々は平山の世界に入っている。
しかも妙な幸福感に包まれる。
私は初めての映像体験だったし、私と同じ感覚に陥った人々は多くいると思う。
そしてラストに車の運転をしながら泣き笑いの芝居をする役所広司さんには脱帽。
客観的な予想は「対抗」だが、個人的な希望としては本命。
是非、最優秀を獲って欲しい。
単穴は「怪物」。
ちなみに単穴は「たんあな」と読み、「本命・対抗馬を負かす可能性のある穴馬」。
「怪物だれーだ?」というサブタイトルのとおり、巧みなミスリードにより観客に怪物探しをさせるも、怪物は誰だか分からず、気が付くと「怪物探しをしているお前(観客)が怪物だ!」という地点にたどり着く。
この巧妙な脚本を是枝監督は見事に映像化している。
カンヌ国際映画祭において、脚本賞、クィア・パルム賞を受賞しているところもポイント。
ただし、「初めての映像体験をした」という意味では「PERFAECT DAYS」の方が、やや上の気がする。
「福田村事件」を予想に入れなかったのは、単純に「一般に知られていないから」という理由。
この映画は実際に大正時代に起こった朝鮮人差別に端を発した殺人事件を扱っている。
脚本がよく練られていて、大変素晴らしい作品だった。
ただし、公開館数がメチャクチャ少なく、「令和5年を代表する映画」とは言えない。
個人的な希望としては最優秀を獲得して、それを切っ掛けに多くの人に観てもらいたい映画だ。
人種差別と言えば「黒人差別」が思い浮かぶが、「福田村事件」で描かれているように日本人にも差別意識はある。
日本人どころか、人間は社会を形成しないと生きていけず、そのため他の社会に排他的にならざるを得ない宿命を持っていることを自覚させられる。
もし、「福田村事件」が最優秀作品賞を獲得したら、日本アカデミー賞を見直す。
今まで馬鹿にしてきたことを謝罪する。
「こんにちは、母さん」も面白いのだが、多くの山田洋次監督作品の中では飛びぬけていたとも思えないし、残念ながら令和5年を代表する作品ではないと思う。
「ゴジラ-1.0」の山崎監督と違い、山田監督作品にハズレはない。
「こんにちは、母さん」も、山田監督らしい「松竹大船調」と呼ばれる小市民喜劇であったが、個人的には山田監督には、再度、時代劇を作って欲しい。
私の予想はここまで。
結果は令和6年3月8日。
21時から日テレ系で地上波放送されるので、是非、皆様もご覧あれ。